国試に役立つ「疾風の勇人」

2017/10/18

先日「疾風の勇人」という漫画を読みました。
「ムダヅモ無き改革」であまりにも有名な大和田秀樹先生の作品です。

巨人ファンの私が勇人なんて言うと坂本勇人が主役か?と思いきや
第58~60代内閣総理大臣の方の勇人、つまり池田勇人が主役の作品です。
とは言え坂本勇人の「勇人」という名前は池田勇人にちなんで付けられたものなので
あながち完全に無関係というわけでもありません。

池田勇人と言えば「所得倍増計画」で有名ですね。日本の高度経済成長の立役者。
漫画で知りましたがもともと大蔵官僚だったのですね。経済に強いわけだ~。
もともと大和田先生が「あまり小説や映画で取り上げられない人物」を扱おうという意味で
選ばれたそうですが、確かに戦後の総理大臣とかってあんまり題材にならないですよね。
なので吉田茂とか岸信介とか池田勇人とか佐藤栄作とか田中角栄とかの並びが混ざる混ざる…。
本作は真面目過ぎないため飽きず、ふざけすぎないため勉強になる素晴らしい漫画でした。
是非多くの人に読んでいただきたい作品です!
巻数も全7巻と少ないのでサクっと読めると思いますkira01

さて、ところで私も漫画で知ったのですが、
池田勇人はある疾患に悩まされていたということをご存知ですか?
史実でありネタバレというのか微妙ですが、一応以下改行にてお読みください。
漫画をこれから読むつもりで前情報なしで楽しみたいという方は閲覧をお控えください。









その病気は「落葉性天疱瘡」。今でも特定疾患(いわゆる難病)ですが、
当時は大変な奇病で何年も間池田勇人はこの病気に悩まされたといいます。
前述の通り大蔵官僚であった彼ですが、この病気をきっかけに大蔵省を辞めて
地元(広島)で療養生活を強いられました。
その後復職して総理大臣にまで上り詰めるのですから、
まさに疾風のような強さと軽やかさを持った人ですよねー!

(111A-34)
55 歳の男性。全身の皮疹を主訴に来院した。1 か月前から頭部、顔面、頸部および体幹に皮疹が出現し、徐々に拡大してきた。胸部の写真(A)と皮膚生検のH-E 染色標本(B)とを示す。
診断として最も考えられるのはどれか。
a 疱疹状皮膚炎
b 尋常性天疱瘡
c 落葉状天疱瘡
d 水疱性類天疱瘡
e 後天性表皮水疱症
(A)
111A-34A
(B)
111A-34B

皮膚科は水疱症の出し方が毎年やたらマニアック。(参照:国試攻略vol.15 皮膚科編)
111回ではまさにこの落葉性天疱瘡が出題されました(答えはc)
落葉性天疱瘡はDsg1に対する自己抗体ができます。
Dsg1は比的表皮の浅いところに多く存在するため、
落葉性天疱瘡の水疱形成位置もこのように浅くなるということです。