総合病院 水島協同病院

市中病院

ミズシマキョウドウビョウイン

情報更新日:2019/04/11

〒712-8567 岡山県倉敷市水島南春日町1-1
086-444-3211(代表) / 086-444-3230
JR倉敷駅から車で20分 水島臨海鉄道弥生駅から徒歩10分

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「解釈モデル」にどう対応するかを学ぶ実践的な研修

―― 貴院の特徴的な初期研修のなかで、JCEP(卒後臨床研修評価機構)からも高く評価された「内科外来研修」のプログラムについて教えてください。

戸田医師:1年目の9月から、指導医同席のもと、研修医に一般内科の外来診療を担当してもらいます。問診・身体診察・診断にいたる思考過程をじっくりと学ぶことができ、経験症例は救急外来を含めると1,000をゆうに超えます。急性や慢性症状、健診異常など、問診と身体診察の流れを指導医のフィードバックを受けながら行うことは、3年目以後になると得がたい機会ですから、貴重な経験といえます。
診察後にフィードバックや確認、ディスカッションを行い、足らない部分はその日のうちに振り返りを実施。さらにmini-CEXによって指導医が各項目の評価を行っていき、個別の学びに繋げていきます。
病気そのものの診断・治療はもちろんですが、患者さん自身の「解釈モデル」にどう対応していくかを学べるのが特徴的で、それを初期研修のうちに経験することは重要ですね。

大橋医師:研修医自らがさまざまな主訴から鑑別診断を挙げ、問診や検査の立て方、治療方針やフォローなどを指導医とともに行うことはとても貴重な経験になるでしょう。
救急外来とは異なり、指導医と議論しながらじっくり診療することができるのも良い点です。そのプロセスのなかで、問診や検査の重要度、時間調整などを学んでいき、独り立ちに向けての基礎を習得してもらいます。患者さんと向き合う経過のなかで、診断をつけにいく能力を養っていけるのが大きなメリットといえますね。

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総合診療能力を身につける「在宅医療研修」の退院前訪問

―― 1年目から経験する「在宅医療研修」は、どのような内容ですか?

戸田医師:以前より、当院では患者さん宅に訪問するという行為を自然にやってきました。最近は意識的に、研修医に退院前訪問に行ってもらうようにしています。他職種とともに患者さん宅へ訪問し、生活の場を確認しておくことで、具体的にイメージしながら退院までの道筋を考えることができます。
医師の目標は病気を治すことですが、患者さんにとってのゴールは、病気が治って家に帰ることなんですね。単に治せば良いのではなく、患者さんが元の生活に戻れるかどうかまでを見ることが医師にとっても重要。たとえ病気が治っても、ADLの低下が生活に影響することは少なくありませんから、事前に環境面まで把握しておくことは大切です。

大橋医師:退院前訪問を通して、患者さんがどのように生活し、どこが退院後の問題・障害となるかをリハビリや看護的な視点から学んでもらいます。
自宅に手すりになるものはあるか、なければ器具の設置は必要か。また、家の中の広さなど、患者さんの話を聞くことで生活空間を実際にイメージできることもあります。こうしたことを経ることで、ほかのメディカルスタッフとの意思疎通も図りやすくなりますから、臨床に役立つ面は大きいといえますね。

―― 貴院では、地域の「班会」に出向いて医療講話を行う活動も、研修項目として重視していると聞きました。

高山医師:班会とは、地域の方々が健康増進や疾患予防などを目的に複数名で集まり、さまざまな活動をされている場です。ここに医師が出向いて疾患予防の観点から健康についての話をすることがあります。研修医にも積極的に参加してもらいたいと考えています。
実は私が初期研修を当院で行うことに決めたのは、班会というものがあると知って、それに参加したいと思ったからなんです。
班会は病院内とは違って、地域の方が医師と同じ目線で、本音で話をしてくれる場なんです。私は研修医のとき、年間で40回以上は班会に行きましたが、そこで医師と同じ目線で話してもらい、本音で語ってもらうことがいかに大切かを知りました。
その人の生活習慣をいくら変えたくても、医者が偉そうなことを言うだけでは何も変わりません。本音で相手に語りかけ、その人の気持ちを知ることで、初めて気持ちを動かすことができるんです。どのように話をしていけば、人の気持ちが動くか。それを私は班会の場で学び、初期研修から30数年経った今も自分の中に息づいています。

大橋医師:班会に出て多数の参加者に健診の結果返しや説明を行うことで、HT、DM、HLについて学ぶ機会が得られ、内科外来研修にも応用できていきます。
また、病院や医師の評判など、地域の人たちのより身近な生の声を聞けるので、自分自身を振り返る良い機会にもなりますね。医療講話ではいかに一般の方にわかりやすく説明できるかが大事で、ときにユーモアを交えながら伝える訓練にもなると思いますよ。

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新医師臨床研修制度開始以前から行う「小児科外来研修」が3年目に必要な礎に繋がる

―― 貴院では他院にはない「小児科外来研修」を行っていますが、どのようなものですか?

高山医師:1年間を通して小児科外来に入ることで、子どもたちの多彩な疾患に数多く接することができるものです。
小児科の1次医療には感染症が多く、たとえば冬場はインフルエンザ、夏はプール熱や手足口病などが流行するように、季節によって疾患の種類が異なります。だからこそ1年を通した研修が理想的で、1年目の10月頃から週1回、小児科外来に入ってもらうのです。
そこで小児を診るための基本的な手技や検査、処置などが自然に身につき、それを半年以上続けた上で、研修2年目で小児科研修を2カ月経験すれば、小児診療の初期対応は十分にできるようになります。この研修は、2004年の新医師臨床研修制度が始まる以前から伝統的に行っていますので、他院にはない特徴的なものだといえるでしょう。
加えて毎週火曜のランチ時には、1年目の初期研修医を対象にした小児科ランチョンセミナーを実施して、自ら考える力を身につけると同時に、救急対応能力を養ってもらいます。おもな症例を提示しながら、クイズ形式で質問していくなど、小児科を楽しく学べるような工夫を施しているんですよ。

―― 職種の壁を越えて学ぶ、「多職種研修」についても教えてください。

大橋医師:1年目の4月のオリエンテーションで、医師をはじめとする同期のスタッフたち約60名と学びをともにする研修です。

戸田医師:ほぼあらゆる職種のスタッフに会ってもらうことになり、最初に研修医の顔を皆さんに覚えてもらう機会になります。職種の壁を越えた横の関係を築くことで、連携がスムーズになって研修が進めやすい環境になるので心強いと思います。

大橋医師:学生時代までは医学生という枠組みだけで活動してきたのが、入職後は他職種とともに協調して働く必要が生まれます。
そのための社会人としての心得や接遇、看護実習、検査室、ケースワーカー、事務仕事の実習講義などを行うわけですが、医師以外の業務を早い段階で学ぶことでほかのメディカルスタッフへの配慮や理解が進みます。
最初に指示を出すのが医師の仕事ではありますが、その判断が問題であれば、余計な作業や費用、時間を多職種に与えてしまうことになります。検査や看護の大変さを学んでもらい、研修の早い段階でそうした苦労を経験してもらうのは良いことだと思いますね。

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倉敷中央病院の救急を学び内科・総合診療科の専門研修ができる好環境

―― 連携施設との救急研修も実施されていますが、どのような内容ですか?

大橋医師:月に一度、倉敷中央病院・総合診療科の医師とのカンファレンスを行っています。困難な診断や治療を紹介していただき、その後の経過報告を通して専門医の考えや行動を知り、学びを得ることができます。
おもに初期研修医向けに救急・総合診療の基礎的内容の確認や考え方などを教えていただくもので、3次救急病院での診療の実態を知る貴重な機会になっていますね。

―― また、貴院の3年目からの専門研修では、内科・総合診療科が基幹施設ですが、内科の専門研修での特徴はどういうところですか?

大橋医師:高齢者では特に多数の内科疾患を抱えていることが多く、できるだけ自分でマネジメントできる能力を学んでもらいます。一方で、専門科を緩やかに決めていき、他科からのコンサルトにも柔軟に対応できる能力を身につけてもらいます。高度な専門性ではなく、自分のできる境界、限界を見極めて他科や他病院に紹介できる能力を養っていくことも身につけるべき能力の一つです。

―― 総合診療科についてはいかがですか?

戸田医師:当院ではあえて4年間のプログラムとしており、1年間の自由な研修期間を手にすることができます。また、内科と同じく、生活困窮者や独居高齢者が集まる傾向にあり、総合診療医の真骨頂ともいえる医療以外のマネジメント能力についてもしっかり学んでもらいます。

―― 貴院の初期研修において、研修医を指導する際に気をつけている点を教えてください。

大橋医師:当院では急性期と慢性期の橋渡し的な役割があり、外来、病棟、往診、地域の班会・保健活動など幅広く行ってもらいます。そのなかで、時間的にも体力的にもゆとりをもって研修できる体制を作ることに留意しています。
初期研修医は環境によって変化しやすいので、個性の良いところを伸ばしていくことが大切です。そして答えをすぐに導くよりは、臨床上の疑問を立てて、じっくり考えてもらうような指導をしたいですね。
研修医の皆さんには、膨大な医学知識のなかで、自分が答えを知らない、または答えがない状況が多々あることを知って欲しいと思います。それを見つけるために、少しでも臨床の疑問点を抽出し、解決しようと模索する訓練をして欲しい。
「絶対にこうだ」という方針や正解は結構少ないもので、それよりも「この選択のほうがまだ良いのではないか」と理由や妥当性を持って選択することが重要です。それを繰り返すことで、おのずと負けが減っていくと思いますから。

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30数年前の初期研修で患者さんに教わった野菜づくりが、
大切な趣味となって今の暮らしに息づいています。

―― 水島で暮らす良さを教えてください。

戸田医師:水島の海は工業地帯があり、夜景スポットになっていて有名です。そしてちょっと遠めの海に行くと、海水浴もできるビーチがありますので楽しめますよ。
また、倉敷までは車に乗れば20分程度で行くことができて、「美観地区」はおすすめの観光スポット。倉敷は落ち着いた街並の一方で、トレンドに敏感なお店もいっぱいですから、休日に出かけるとリフレッシュできると思います。

―― 高山先生は、休日はどのように過ごしていますか?

高山医師:今、自宅の庭に畑を造って、野菜を育てています。季節を通じて野菜が獲れて、夏にはオクラやアスパラ、わさび菜、トマトを収穫しました。ナスの煮びたしを自分で作って家族と一緒にいただき、とても美味しかったですよ。

―― 野菜づくりはいつからですか?

高山医師:実は、この病院に初期研修医で来たときからやっています。最初に担当した患者さんが、90歳まで畑仕事をしていた元気なおばあちゃんで、野菜づくりのコツを教えてくれたんです。
当時、研修医用の男子寮があって、そこに小さな庭があったので、夜中や休みの日に鍬を入れて、畑にして野菜づくりを始めました。それ以来、自分で市民農園を借りるなど、ずっと野菜づくりは続けていますね。
今も当院の周辺には自然がたくさん残っていますし、菜園を持てる場所も豊富にありますから、研修医の皆さんもリフレッシュに畑での野菜づくりなんていいんじゃないかな。

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(2019年1月掲載)