メックタオルを使っていただきました -報告1-

2020/03/11

皆さんが今日家で手を拭いたタオルは、どんなタオルでしたか?

新品でフワフワしていたでしょうか。
使い古しでゴワゴワしていたでしょうか。
無地でしょうか。柄つきでしょうか。
自分で買ったもの、それとも粗品でもらったものでしょうか。

そんな、私たちが特に気にも留めず、当たり前のように使っているタオルが、特別な物である国が世界にはまだたくさんあります。
それらの国ではタオルは高級品で、貧しい家庭では手に入りません。
産まれたばかりの赤ちゃんにも、雨でずぶ濡れになった子供にも、清潔なタオルを使わせることのできない国があるのです。

そのような国で何年もの間、無償で医療を提供している団体があります。
小児外科医の吉岡秀人先生が創設者の「ジャパンハート」。皆さんはご存知ですか?
https://www.japanheart.org/

メックではロゴの変更により皆様に配布できなくなったメックタオルを、しかるべき場所で活用していただきたいと考え、2019年末に団体・病院・福祉施設など数カ所にお送りしました。
その中の一つが「特定非営利活動法人ジャパンハート」です。今回、東京オフィスにお邪魔して活動の概要やタオルの利用方法などについて、お話を伺ってきました。

ジャパンハートは、2004年の設立以来、「医療の届かないところに医療を届ける」を理念に、現在、ミャンマー、カンボジア、ラオスの三カ国に拠点をもち、年間約3万人もの人々に無償で診療を行っています。
活動はそれだけにとどまらず、ASEAN内の自然災害時の緊急支援、国内の小児がんの子どもと家族のためのサポート、東日本大震災などの国内災害時やへき地・離島への医療人材派遣、医療人材の育成など、「医療の届かないところに医療を届ける」活動を通じて、更には医療=治療という概念を変えるべく、一人ひとりの「人生の質の向上」という観点からもサポートを行っています。
今回お話をうかがったスタッフの宮田さん、小林さんはお二人とも看護師さん。もちろんボランティア経験者です。小林さんは、昨年末にカンボジアでの国際看護師研修より帰国されたばかりということで、現地の最新の状況をうかがうことができました。

ボランティアに参加する方は、短期も長期も医師はもちろんのこと、研修医も医学生も増加しているそうです。特に、医学生は数年前から右肩上がりで増加中とのこと。近年、大学で国際医療の授業ができたこともあり、ジャパンハートのスタッフの方が講義を行う大学もあるそうです。こういった状況の中で国際医療に関心をもつ医学生の方が増えているのかもしれません。
また、短期間チームを組んで参加する大学病院も増加しているとのこと。小児外科チームが現地に赴き、5日間の滞在の中、毎日手術を行って帰国する、といったような事例も増えているそうです。

現地では伝統医療の影響がまだ根強く、具合が悪い=病院にかかる、が理解されず、病気がかなり進行してからようやくジャパンハートの病院に来る患者さんが多数いるそうです。そういった方に無償で医療を提供しながら、少しずつですが、病院の存在が理解されつつある、という現状とのこと。
また、言葉についても英語ができれば良いか、といえば当然そう簡単なものでもなく、現地スタッフは英語を話せますが、患者さんは現地の言葉以外話せません。診療は全て現地の通訳を通して行われるそうです。
でも、小林さんは、「少しでも興味があったら、英語力が心配でも、まだ医師じゃなくても大丈夫です!ぜひ現地を見て体験してみてください。できることはたくさんあります!」と力強くおっしゃっていました。

話は冒頭のタオルに戻ります。
ジャパンハートが拠点にしている3カ国でも、タオルは高級品。新生児にボロきれのような布を巻き、それすらなければ裸のまま。現地の医療スタッフも何度も洗濯したタオルを使いまわし、それが日常ということです。タオルだけではありません。このところ日本でも品切れの続くマスクも、医療スタッフの手術用のものですら、少し前までは洗って使いまわしだったそうです(今では、その現状を知り驚いた日本のメーカーが、マスクを支援してくださるようになったとのこと。良かった!)。
このような環境で、お送りしたタオルがほんの少しでも役に立つことを願ってやみません。

―――

もう世界では十分に人類を養える食糧を生みだせているのに、まだ、飢えている人々が沢山いる。一方、毎日毎日、アメリカや日本ではかつての人類の苦労を嘲笑うかのように、多くの大切な食べ物がまるで汚物のように廃棄されていく。
この国では医療をまるでコンビニのように使い倒す人たちがいるのに、どんなに大変な病状になっても一度の診察も受けられず、たった一つの薬ももらえずに亡くなってしまう人たちが近くの国には存在している。

こんな不均衡はなぜ生み出されているのか?

途上国で病気や貧困には根本的なアプローチが大切だと散々聞かされてきたが、この自分たち側にもある問題に根本的に取り組まなければという人たちにはあまり会ったことはない。そしてこの不均衡は多分、この時代に拡大している。

未来の人類のメンバーは皆、そのどちらかに取り組まなければならないだろう。

特定非営利活動法人ジャパンハート
最高顧問/ファウンダー
小児外科医 吉岡秀人
創設者メッセージより抜粋
https://japanvolunteer.org/aboutus/

 

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創設者吉岡先生の写ったポスターと、看護師の宮田さん、小林さん、広報ご担当の大野さん。
お話をうかがった短時間の中でも、志高く、誠実なお人柄が現れていらっしゃいました。
皆さん明るく朗らかで、大変楽しい時間を過ごさせていただきました。ありがとうございました!