2021/02/04
気づいたらもう2月らしいですね。
緊急事態宣言が再び発令された結果、いろんなライブが再び中止になり、失意の底にいる佐倉です。かなしみおさしみさしすせそ(´;ω;`)
まぁどちらにせよ(一応)医者として、本当にもう少し状況が落ち着くまでは現地参加は見送りですかね。。。ライブ配信に期待!
さてさて今週末はついに国家試験本番ですが、6年生の皆さんはいかがでしょうか?
直前期で一番大事なことは今までの学習内容の総復習、つまり暗記です!
国試で何より大切なのは当たり前の知識を当たり前に選べること。
僕は学習の本質は暗記だと定義しているので、一年中覚えろと言い続けていますが、今日、明日だけはぜひ僕を信じてください笑 いや、普段もできれは信じて欲しいけどっ
試験後にあまり成績がよくなかった学生が必ず言うのが「先生の言う通り覚えておけばよかった…」です。
いろんな学習スタイルがあるので、無理強いはしませんが、少なくとも一度は全体を見直して、基本知識の抜けがないかを確認することをお勧めしますっ
では前回の続きということで、今回で妄想を正しく理解しきりましょう。
今回の論点はずばり『一次妄想と二次妄想の違い』ですっ
みなさんは一次妄想と二次妄想をどのように習ったでしょうか?
よくあるのが、
「妄想○○が一次妄想で、○○妄想が二次妄想」
という回答です。まぁ間違っちゃいないのですが、理解しているとは言い難いですね。。。
前回の復習にはなりますが、
この問題の答えを奇妙に感じるのであれば、それは正しく妄想を理解していないことになります。
それではここらで「なぜこれが一次妄想と言い切れないか?」について、ネタバラシをしていきましょう。
「了解不可能」というキーワードはどこかで聞いたことがあるかもしれません。
そのままの意味で、「理解不能」ということです。
なので
「一次妄想は了解不可能=理解不能」
という教わり方をした人も多いのではないでしょうか?
しかし本当に本質的に大切なのは了解不可能ではなく、発生過程がの部分になります。
妄想を正しく理解するためには、『思考の仕組み』を理解する必要があります。
そこで思考過程に関する概念を大まかなイメージとしてお伝えします!
言葉遣いは少しわかりやすくしているので、厳密ではありませんがそこはご容赦をっ
【思考過程と一次妄想】
精神科ではヒトは「なにかしらの結論」に至る際には、必ず「そう考える理由」が存在すると考えます。
至った結論を「結果」、そう考える理由を「原因」と言い換えることにすると、
ヒトの思考は「原因(理由)から因果関係によって結果(結論)に至ること」
と表現できます。
これが普通の思考であり、ヒトは通常この方法でしか思考できません。
そのためこの思考方法で得られた結論であれば理解できます(=了解可能)が、
この思考過程をたどっていなければ決して理解できません(=了解不可能)。
一次妄想の定義を上記の理論で置き換えれば、
一次妄想とは思考過程が「原因(理由)から適切な因果関係によって結論(結果)に至る」という形式をとっていない妄想
と読み替えることができます。
それでは適切な思考過程を経ていない妄想とはどういうものをいうのでしょうか?
思考過程に必要な条件は
①:原因(理由)
②:適切な因果関係
③:結論(結果)
の3点です。
妄想であることから「③:結論(結果)が誤っていること」は前提条件。
であるとすれば「適切でない思考過程=一次妄想」とは、
①:原因(理由)が存在しない
もしくは
②:(原因は存在するが、)適切な因果関係が存在しない
を指すことが導けます。
それぞれを
①:妄想着想・妄想気分
②:妄想知覚
と定義するのです。
一次妄想・二次妄想の分類方法は「内容」ではなく「過程」に集約されるということ、 おわかりいただけたでしょうか?
ちなみに内容では、
①:誇大妄想(自分を過大評価する内容)
②:微小妄想(自分を過小評価する内容)
③:被害妄想(他者から害を加えられているような内容)
に分類され、さらにそれぞれの中で具体的な内容から細分化されていきます。
めっちゃ長くなるので省略しますが、知りたい人は専門書へGO!
ということで冒頭の問題が「なぜ一次妄想と言い切れないか」ですが、もう簡単ですね?
「どのようにしてその結論に至ったか」という過程が記載されていないからです。
「突然ふと確信した」とかいうのであれば一次妄想(原因が存在しない)ですが、
「昨日まで全財産1ドルだったんだけど、ルーレットを30回連続的中させて貯金が10億ドルを超えたから、ギャンブルの神様だと思うんだよHAHAHA」とかいうのであれば、
①:貯金を一晩で10億倍にした→原因(理由)が存在する
②:①があれば確かに自分が特別な存在であると考えるのも無理はない→適切な因果関係が存在する
となり、二次妄想(かつ誇大妄想)となります。
…とまぁ本当はめちゃめちゃ大事な話なのですが、発生過程を正しく読み解くのは慣れてないと難しいものがあります。
とくに「因果関係が適切か否か」は主観(さらに言えば文化的背景)にも大きく依存するので、より難解。。。
慣れてない状態で下手に使うと間違える可能性があるので、
普段は解きなれている感覚で解いて、どうしても自分の感覚では解けない問題に出会ったら上記の方法で考えてみるのもひとつの手段ぐらいに捉えておくとよいかと思います(*’▽’)
(ぶっちゃけるとここら辺の理解度は精神科の先生でも、学問的背景(理論重視か臨床重視か)によって異なるんです。。。)
前回記事で「はたらく細胞」についてコメントいただいたので、一期見てみました!
結論から言うと血小板ちゃんが可愛いです!(今更)
まりあんぬかわいいよ、まりあんぬ。へいっ
そして医学の勉強としてはどうかと言われれば、医学生の勉強としては十分ではない
と言うのが本音ですかね。
初学者の導入としてはわかりやすいですが、専門教育(というほどでもないけど医学生レベル)の学習としては理論は不十分かなぁ。
細かい理論の正確さというより、大筋は外れないようにしつつ、物語に合わせてアレンジって感じを意識してるのかと(*’▽’)
そもそも免疫は超専門的な巨大分野なので、正しく表現されまくっていたらそれはそれでビビりますけどね笑
監修の先生のインタビュー記事も目を通しましたが、そちらでも監修としては「物語を通して実際の患者さんに不快感を与えないかどうか」に主軸を置いているようなニュアンスがうかがえます。
「はたらく細胞」を目にするメイン層は専門家ではなく非専門家の方々となるので、理論よりも臨床的感覚を優先した監修は素晴らしいですね(`・ω・´)
全然まだ細胞の役割とかわからない、イメージがつかめない、そんなに詳しくならなくてもよいetc
といったようなレベルでの導入としては十分よい!
が、国試レベルでの理解となると誤解を招きかねない部分も多いので、『勉強』という視点で見るのは避けた方が無難かと個人的には思いますっ
こういうような漫画で専門的な分野を紹介するという本は
・そもそも専門外の話を一から調べる労力が果てしないし、
・ネチネチツッコミいれてくるやつもいるだろうし(僕みたいに笑)、
書くためには大変なことも多いだろうと思います。
僕もマンガで憧れたのが医学部目指した大きな要因のひとつなので、ぜひとも清水茜先生には今後も頑張っていただきたいですね(`・ω・´)