Menu 5 「お酒」と「違法ドラッグ」に関する英語表現

2019/08/01

こんにちは。「医学英語カフェ」にようこそ!

ここは「コーヒー1杯分」の時間で、医学英語にまつわる話を気軽に楽しんでいただくコーナーです。

本日のテーマは『お酒』と『違法ドラッグ』に関する英語表現

現在、ほとんど全ての医学部で医学英語教育の一環として、「英語での医療面接History Taking in English を指導していることと思います。この中で日本人の医学生や医師が苦手としている英語表現として、患者さんが使う「お酒」と「違法ドラッグ」に関する英語表現が挙げられます。実際に患者さんが “I smoked pot in college.” や “I realized I was quite stoned.” のように表現した場合、英語が得意な医学生でも、ハリウッド映画や海外ドラマなどで何となく聞いたことがあるだけで、これらを「正しく」理解しているという人は少ないのではないでしょうか?
そこで本日は医学部では教えてくれない「お酒」と「違法ドラッグ」に関する英語表現をご紹介します。

お酒」も「違法ドラッグ」も医療面接では「社会歴Social History に含まれます。この「社会歴」に話題を移す際には簡単に “Now I would like to ask about your lifestyle.” と言いましょう。
医療面接における「お酒」に関する質問は日本語では「飲酒歴」ですが、英語圏ではAlcohol History もしくは単純に Alcohol と呼ばれ、「カルテ」 Patient Note に書かれる際にはEtOH と表現されることが一般的です。この飲酒歴を尋ねる際にはまずDo you drink alcohol? と尋ねます。そしてもし患者さんがお酒を飲まれるようでしたら、次に What type of alcohol do you drink? と尋ねましょう。

ここで患者さんはいろいろなお酒の種類を英語で表現するのですが、これらを理解するために、まずはお酒の種類を大まかに理解しておくことが大切です。大きく分けるとお酒は「醸造酒発酵酒)」 fermented beverage と「蒸留酒distilled beverage の2種類に分けられます。

fermented beverageは糖分を含む原料を「発酵」 to fermentさせて作るお酒です。「ブドウ」grapes を発酵させれば wine が、「お米」 rice を発酵させれば sake が、そして「麦芽」 malts を発酵させれば beer ができるわけです。一般に日本人が beer と聞いて思い浮かべるのが「下面発酵」bottom fermentation によって作られる lager なのですが、これは冷蔵技術が発達してから生まれた歴史的に新しい beer です。これに対して「上面発酵」 top fermentation によって作られる ale は歴史が古く、実に様々な種類があります。よく日本人から「海外ではぬるいビールを飲む」というような文句を耳にしますが、イギリスの代表的な「黒ビール」 stout の代表格であるGuinness や、アメリカ人が好んで飲むホップの効いた Indian pale ale (IPA) などは、日本人が好んで飲む lager とは作り方から異なり、それほど冷やさないで飲むのが一般的なのです。私は「ベルギービール」が大好きなのですが、私が好きなのは「ベルギーのエールビール」ですので、英語で表現する際には Belgian ales と明確に区別して使っています。

この fermented beverage を「蒸留」to distill して作られるのが「蒸留酒」distilled beverage で、fermented beverage よりも高いアルコール度数をもちます。英語の distill には「水滴を絞り出して濃縮させる」というイメージがあり、反対語の instill には「水滴を染み込ませるように時間をかけて浸透させる」というイメージがあります。そしてこの distilled beverage が一般的には liquorspirit と呼ばれているのです。この spirit には材料や作り方などの違いから rum, gin, vodka, and tequila など実に様々な種類があります。また最近のハイボールブームの影響で人気となっている「ウィスキー」も、このspirit に含まれます。ただこの「ウィスキー」のスペルにはちょっとした注意が必要です。ウィスキー発祥の地であるScotland や日本では whisky というスペルを用いますが、Ireland や the United States などでは whiskey というスペルになっているのです。語源というわけではありませんが、「アメリカでは『禁酒法』prohibition/dry laws 時代にウィスキーを金庫に『鍵』key をかけて隠していた」とイメージすれば、アメリカのバーボンウィスキーが Bourbon whiskey というスペルになると覚えられるでしょう。

お酒の種類を尋ねた後は、その飲酒量をHow many drinks do you have a week? と尋ねましょう。日本語でいうところの「機会飲酒」や「付き合い程度の飲酒」には、 “I drink on a social basis.” や “I am a social drinker.” のような表現があります。飲酒量が多く、アルコール依存症の可能性がある場合には下記にあるCAGE Questionnaire が有効です。日本では少しでも飲酒していると厳罰に処される「飲酒運転」ですが、英語では「飲酒」にかかわらず、運転に影響を与える物質を一定量使用しているかどうかが問題となるため、driving under the influence (DUI) などと呼ばれています。

「お酒」の英語以上に日本人が苦手としているのが、「違法ドラッグ」 illicit drugs に関する英語表現です。これは、日本の医療面接で尋ねることはほとんどありませんが、英語圏の Social History では必須の項目の一つで、Have you ever used any recreational drugs? のようにrecreational drugs という表現を使って尋ねます。もし患者さんが Yes と答えるならば、What type of drugs do/did you use? と尋ねます。そこで患者さんは、皆さんにとって「耳慣れない」ドラッグの英語表現を使うことでしょう。日本ではこれらはもちろん違法であり、使用が許容されるべきでないことはいうまでもありませんが、医学生として、これらの薬物を「正しく」理解することは、患者さんの健康をサポートする上でとても重要なことなのです。日本人には馴染みの薄いこの illicit/recreational drugs には様々な種類があるのですが、大きく “uppers” “downers” “psychedelics” の3つに分けて理解するとわかりやすいと思います。

「意識を覚醒させる」という効果をもつ “uppers” ですが、これが日本語の「覚醒剤」に相当します。代表格である amphetamines は一般的に “speed” と、 methamphetamines は “meth” と呼ばれています。皆さんの中にも映画やドラマなどで “ice” という表現を聞いたことがある方もいると思いますが、これは「氷」ではなく、 crystal methamphetamine (crystal meth) の俗語です。この他 cocaine には「白い粉」という見た目から “white” や “snow” という俗語や、 cocaine という名前から “coke” や “C” という俗語があります。

次に「意識を混濁させてリラックスさせる」という効果をもつ “downers” です。日本では「シンナーを吸引する」行為に「アンパン」などの俗称がありますが、英語では “glue sniffing” と呼ばれます。この “downers” の代表格が「大麻」 marijuana です。これは cannabis という植物をタバコ状にして吸引する薬物で、「葉っぱ」という見た目から “weed” “pot” “grass” のような俗称が、marijuana という名称から “Mary Jane” という俗称が、そして「昔大学生が授業の終了する午後4時20分に吸っていた」という経緯から、 “420 (four twenty)” という俗称(ここからアメリカでは4月20日を “Weed Day” 「マリファナの日」としています)が、それこそ数えられないくらいあるのです。吸い始めると最初に “buzzed” という酔っ払った症状が現れ、次に “high” と呼ばれる気分の高揚が認められます。よく日本語で「ハイテンション」と表現しますが、これをそのまま high tension と表現しても、これは和製英語であって通用しないのでご注意を。そして最後には意識が混濁した “stoned” と呼ばれる症状が現れます。この他、「鎮痛剤」として使われるmorphine/codeine/heroin に代表されるopiates も、この “downers” に含まれます。特にアメリカでは近年、 opioids による薬物依存が社会的にも大きな問題となっています。

3つ目のカテゴリーが「幻覚を引き起こす」という効果をもつ psychedelics です。これらは「幻覚」 hallucination を引き起こすために、 hallucinogensall-arounders などと呼ばれています。代表的なものとしてLSD MDMA がありますが、前者には “acid” や The Beatles の有名曲である “Lucy in the Sky with Diamonds” のような俗称が、後者には “ecstasy” のような俗称があります。また日本でも「マジックマッシュルーム」として知られているpsychedelic mushrooms (“magic mushrooms”) も、この psychedelics の一部です。

繰り返しになりますが、「違法ドラッグ」の使用は許容されるべきものではありません。しかし、皆さんの患者さんが会話の中で使用した場合、それらの英語表現に偏見を抱くことなく「正しく」理解することは、医師としてとても重要なことなのです。もし「耳慣れない」英語表現を患者さんが使った場合、躊躇わずにWhat do you mean by that? と聞いて確認してくださいね。

さてそろそろカップのコーヒーも残りわずかです。最後に、今日ご紹介した「お酒」と「違法ドラッグ」に関して尋ねる際に役立つ英語表現をまとめておきます。

Alcohol (EtOH)
● “Do you drink alcohol?”
● “What type of alcohol do you drink?”
● “How many drinks do you have a week?”
 CAGE Questionnaire
 ・C: Have you ever felt you should CUT DOWN on your alcohol consumption?
 ・A: Have you ever felt ANNOYED when someone around you criticizes your drinking habit?
 ・G: Have you ever felt GUILTY about drinking?
 ・E: Have you ever had a drink first thing in the morning? (EYE OPENER)

Illicit Drugs
● “Have you ever used any recreational drugs?”
● “What type of drugs do/did you use?”
● “What do you mean by that?”

それでは、またのご来店をお待ちしております。

国際福祉大学医学部 医学教育統括センター 准教授 押味 貴之

 

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