Menu 6 意外と知られていない産婦人科の英語表現

2019/09/02

こんにちは。「医学英語カフェ」にようこそ!

ここは「コーヒー1杯分」の時間で、医学英語にまつわる話を気軽に楽しんでいただくコーナーです。

本日のテーマは「日本人には意外と知られていない産婦人科関連の英語表現」。

日本の医療現場では「ギネ」として呼ばれる「産婦人科」ですが、英語では ObGynと呼ばれます。これは「産科」の Obstetrics と「婦人科」の Gynecology(「ギネコロジー」ではなく「ガィネコロジー」のように発音します)を組み合わせた表現で、「オービージーワイエヌ」のように発音します。日本の医師や医学生もこのObGyn を知っている人は多いのですが、英語圏で一般的によく使われている Women’s Health という表現はあまり知られていないようです。
そこで本日は、日本人にはあまり知られていない、産婦人科に関連する英語表現をご紹介します。

MFM specialist ってどんな医師?
産科obstetrics に従事する「産科医」は英語では obstetrician、「婦人科」に従事する「婦人科医」は gynecologist となります。日本では女性にしか資格が認められていない「助産師midwife ですが、英語圏には男性でも資格を取ることが可能な国もあり、その場合は midhusband ではなく male midwife と呼ばれます。
産科の中でも「周産期医療」は perinatologymaternal-fetal medicine (MFM) と呼ばれ、これに従事する医師は perinatologistMFM specialist などと呼ばれます。
ちなみに「新生児医療」はneonatology となり、「新生児集中治療室」を意味する Neonatal Intensive Care Unit の略語である NICU は「ニキュー」のように発音されます。

Menorrhagia と Metrorrhagia は何が違うの?
この Women’s Health では「月経menstruation に関する情報が重要になりますが、この月経には menstrual/monthly periodmenses という一般英語の他、 menorrhea という医学英語もあります。そして「月経異常」には実に様々な種類があります。これらの医学英語を苦手とする学生さんも多いので、ここは一つずつ丁寧に見ていきましょう。
月経周期が短い「頻発月経」は menorrhea に「多い」を意味する poly- をつけて polymenorrhea と、逆に月経周期が長い「希発月経」は「少ない」を意味する oligo- をつけて oligomenorrhea と表現されます。
また異常な痛みを伴う「月経困難症」は dys- をつけて dysmenorrhea と表現されます。ここで気をつけていただきたいのがこの dys- の意味です。「月経困難症」の dysmenorrhea やdysuria、そして dyspareunia などでは painful という意味になり、それぞれ「排尿困難(排尿時痛)」と「性行痛」という日本語訳になります。しかし dyspnea などでは difficult という意味になり、その場合は「呼吸困難」のような日本語訳になります。
このほかにも月経の異常としては、「月経時の出血 flow or menstrual discharge の量が異常となる menorrhagia や、「月経周期menstrual cycleが異常となる metrorrhagia、そしてこの二つが同時に起こる menometrorrhagia などがあります。また不正出血の原因として重要な「子宮筋腫」ですが、医療者には uterine leiomyoma と表現しますが、一般の方にはuterine fibroids と表現しないと理解されませんのでご注意を。

「生理痛」の英語表現は?
次に月経について患者さんに尋ねる際に役立つ英語表現をいくつかご紹介します。「おりもの」にはvaginal discharge という表現が使われますが、特に月経中のものには、 menstrual dischargeflow といった表現が使われます。この flow は動詞としても使われ、「月経の際、出血は通常何日間続きますか?」と聞きたい場合には、 “How many days do you flow during a usual menstrual period?” というように表現します。同じようにspot という動詞も「パラパラと出血して下着を汚す」というイメージの表現として使われます。
cramp は「刺しこむような痛み」というイメージの英語で、「こむら返り」としても使われます。しかし女性の患者さんが複数形の cramps を使った場合、それは「生理痛」という意味になりますのでご注意を。生理用ナプキン」にも色々な英語表現がありますが、最も一般的なのは pads という表現です。エストロゲン estrogen が低下して様々な症状を引き起こす「月経前症候群」ですが、このpremenstrual syndrome の略語であるPMSは動詞として “She is PMSing.”「彼女、生理前で機嫌悪いんだよね。」のようにも使われます。この場合は「ピーエムエスィング」のように発音されます。ただ実際に使うとかなり失礼な表現になるので、皆さんは使わないようにしてくださいね。

“I have been on the pill.” ってどういう意味?
次に「妊娠pregnancy に関する英語表現を見ていきましょう。まずは「避妊contraception に関する表現からご紹介します。患者さんが “I have been on the pill.” と表現した場合、これは単に薬を飲んでいるという意味ではなく、「経口避妊薬」 oral contraceptive pill (OCP) を服用しているという意味になります。定冠詞がつかない pill はただの「(丸)薬」という意味ですが、定冠詞がつくと「経口避妊薬」という意味に限定されるのです。「避妊法contraceptives にはこれ以外にも日本人にとって耳馴染みのないものがいくつかあります。おそらく皆さんは「横隔膜」として記憶しているであろう diaphragm ですが、contraceptive としては「ペッサリー」を意味します。映画 “Deadpool 2” で主人公の恋人が指輪のケースに「T字」型の金属である「子宮内避妊具」を入れて “It’s my IUD… (中略) My birth control device. Baby factory is open for business.” と言うシーンがありました。この IUD は intrauterine device の略で、その「T字」型の形状から “the T” とも呼ばれています。この他にも female condom として知られる internal condom やfem cap として知られる cervical cap、そして避妊薬をチップ状にして皮下に埋め込む contraceptive implant なども英語圏ではよく使われている避妊法ですので、これを機会に覚えておきましょう。

知っておきたい妊娠歴の英語表現
英語圏の産婦人科のpatient note を読んだことがある方ならば、 “G3P2A1C1” のような表現を目にしたことがあることと思います。これは “GPAC” と呼ばれる妊娠歴の英語表記で、Gravidity 「妊娠回数」、Parity 「出産回数」、 Abortion 「中絶回数」、そして Cesarean section 「帝王切開の回数」の略語です。英語圏ではこれに加えて “TPAL” という表記も存在します。これは Term birth 「正期産の回数」、 Preterm birth 「早期産の回数」、 Abortion 「中絶回数」 、 Living children 「生存している子供の数」を表します。したがって “G3P2A1C1” は「妊娠歴は、妊娠3回、出産2回、中絶1回、帝王切開1回です。」という意味になります。また「中絶」は abortion、「流産」は miscarriage となりますが、政治的な「中絶賛成」の立場は「女性の選択権を擁護する」という意味で pro-choice、「中絶反対」の立場は「胎児の生存権を擁護する」という意味で pro-life と呼ばれます。

「妊娠高血圧症」はPIH と言えば伝わる?
最後に妊娠に関して患者さんと話をする際に役立つ表現をいくつかご紹介しましょう。「ご懐妊です」というお知らせは “You are pregnant.” というシンプルな表現以外にも “You have a baby on the way.” のようにも表現できます。また患者さんが “She has a bun in the oven recently.” のように表現した場合、これは「彼女、最近妊娠したんだよね。」という意味になります。皆さんもハンバーガーに使われるパンとして「バンズ」という表現を使うと思いますが、この bun は「丸い形状のパン」のことです。この to have a bun in the oven とは直訳すると「パンがオーブンに入っている」となりますが、これで「妊娠している」という口語表現になるのです。
日本語では「妊娠7カ月」のように月数で妊娠期間を表現するのが一般的ですが、英語では妊娠週数か、3カ月を表す trimester を用いることが一般的です。日本語では妊娠期間を「十月十日」と「数え」の月数で表現しますが、英語ではそのまま 9 months と表現し、それを3分割して first trimester妊娠初期の3カ月間」、 second trimester妊娠中期の3カ月間」、そして third trimester妊娠後期の3カ月間」という表現を使います。ですから患者さんから “Is it safe to fly during my third trimester?” と尋ねられた場合、「妊娠後期(7-9カ月)に飛行機に乗ってもいいですか?」という意味になりますちなみに semester は「6カ月」の意味ですので、日本語の「3学期」は、英語ではthird term となります。「3学期」という意味でthird semester と表現しても、そんなものはカレンダー上には存在しませんのでご注意を。
最後に「妊娠高血圧症」の英語表現をご紹介します。日本では「妊娠中毒症」の呼称を、「妊娠高血圧症pregnancy-induced hypertension (PIH) と変更して広く定着しましたが、英語圏ではこのPIH は医療者の間でもあまり定着しておらず、代わりに「子癇前症」を意味する pre-eclampsia という表現が医療者にも、そして一般の方にもまだよく使われているので注意してください。

さて、そろそろカップのコーヒーも残りわずかです。
最後に産婦人科でよく使われる英語質問表現をまとめておきます。

• “ When was your last menstrual period? ”
• “ Is there any possibility that you might be pregnant? ”
• “ Have you ever been pregnant in the past? ”
• “ Have you ever had any abortion or miscarriage? ”

それでは、またのご来店をお待ちしております。

国際福祉大学医学部 医学教育統括センター 准教授 押味 貴之

 

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