Menu 19 眼に関する英語表現

2020/10/01

こんにちは。「医学英語カフェ」にようこそ!

ここは「コーヒー1杯分」の時間で、医学英語にまつわる話を気軽に楽しんでいただくコーナーです。

本日のテーマは「眼に関する英語表現」。

皆さんも眼科の授業で「」に関する様々な疾患と、その医学英語を学ぶと思いますが、「黒目」や「疲れ目」など「眼」に関する一般英語となると、苦手としている方も多いのではないでしょうか?
そこで今月は、日本の医学部ではあまり教えてくれない「」に関する様々な英語表現をご紹介します。

「黒目」の英語は black eye でいいの?
日本の医学部では「眼科ophthalmology と「耳鼻咽喉科otorhinolaryngology/ENT の講義があり、臨床実習でもそれぞれの診療科での研修が必修となっていることが一般的ですが、米国の医学部では、これら感覚器を専門とする診療科が個別に講義を担当することはほとんどなく、臨床実習でも必修とはなっていません。こういった感覚器の疾患はUSMLE Step 1 でも扱いが少なく、「耳」に関しては、USMLE Step 1 First Aid では Neurology and Special Senses という項目の中にotology として、わずか1ページしか記述がありません。「鼻」に関してはさらに扱いが小さく、「呼吸器Respiratory という項目の中で 、rhinosinusitis副鼻腔炎」と epistaxis鼻出血」の2つの疾患のみが記述されるだけとなっています。ただ「眼」に関しては USMLE Step 1 でも比較的扱いが多く、Neurology and Special Senses の中にophthalmology として10ページ程の記述があります。

では最初に、眼の構造に関する基本的な英語表現から確認していきましょう。

眼を覆っている「まぶた・眼瞼」は eyelid(s) となります。スターバックスなどのコーヒーショップで「をください」と言いたい場合、 “Could you give me a coffee lid?” と言います。つまり「眼の蓋」という意味で eyelid となるわけです。「バセドウ病」は英語圏では Graves’ disease と呼ばれますが、この疾患に特有である「眼球突出」は、「外側」を意味する ex- と「眼」を意味する ophtamo- を使って exophthalmos と表現されます。眼球突出にはこれ以外にも「前に」を意味する pro- と、「垂れ下がる」を意味する ptosis を組み合わせた proptosis とも表現されます。(「眼瞼下垂drooping upper eyelid の医学英語には、この「垂れ下がる」を意味する ptosis がそのまま使われます。)このような exophthalmos/proptosis がある場合、下方を見る時に眼球の動きと眼瞼(lid)の動きに差(lag)が出るのですが、その所見を von Graefe sign と呼びます。しかし英語圏の若い医師や医学生たちは、これを単純に lid lag と表現します。von Graefe signのように、人の名前がついた表現を英語では eponym と言いますが、最近は知識が必要となるこういった eponym よりも、 lid lag のような直接的な表現の方が好まれる傾向にあるようです。また「眼瞼炎」や「眼瞼形成術」などの医学用語の場合、「眼瞼」には blepharo- という医学英語が使われ、それぞれ blepharitisblepharoplastyと表現されます。「二重まぶたdouble eyelids にする blepharoplasty は東アジアの方に多いため、East Asian blepharoplasty などと呼ばれています。

「まつ毛・睫毛」は eyelash もしくは単純に lashとなります。この lash は元々「ムチ」というイメージの単語で、まつ毛が跳ね上がる様子からつけられた名称です。

日本語では「黒目」「白目」という表現を当たり前のように使いますが、これらは英語では black eye や white eye とは表現しません。日本人が「黒目」と呼んでいる部分は医学的に「虹彩iris であり、英語圏では一般の人もこの iris という表現を使います。この iris は人種によって amber や blue など様々な色があり、日本人は自分たちの iris の色を「黒」と認識していますが、英語圏では日本人を含めた東アジアの人の iris を、 dark brown のように brown という色で認識しているので注意してください。また「白目」は、英語では特有の部位として意識されることはほとんどなく、 white part of the eye などと表現されます。

このように「黒目」は英語では iris となるのですが、これとは別に英語には black eye という表現があります。これは「目の周りにできる黒いアザ」、いわゆる「眼窩周囲血腫periorbital hematomaを意味する表現です。また、夜に出発して翌朝到着するという飛行機便のことを、英語で red-eyed flight と呼びますが、これは睡眠を十分に取れない乗客が、「充血した眼red eye で降りてくるのでこのように呼ばれています。このように red eye は「充血した眼」という状態を意味しますが、pink eye となると「結膜炎conjunctivitis という特有の疾患の意味になります。また英語では、 green-eyed のような形容詞もありますが、これは「緑内障glaucoma に関係するのではなく、William Shakespeareが生み出した「嫉妬に狂った」、を意味する慣用句ですので注意してくださいね。

気をつけたい視力検査での英語表現
医学生にとって「脳神経」 cranial nerves の診察は、必須となる基礎的な診察です。その中でも「視神経」 optic nerve の診察では、「視力検査visual acuity test が重要になりますが、そこで使われる英語表現には注意が必要です。

視力検査の際、日本では「ランドルト環Landolt C と呼ばれる上下左右を向いた C の文字を用いますが、英語圏では様々なアルファベットが並んだ Snellen Chart というものを用います。ですから英語圏では “Could you read this line for me?” と指示して、測定する視力に該当する列のアルファベットを読み上げてもらうわけです。このSnellen Chart に慣れている英語圏の患者さんが日本の Landolt Cで検査を受けると、 “C?” や “U?” のような珍回答をすることになってしまいます。ですから日本で外国人の患者さんの診察をする際には、「穴の空いている方向を教えてください。」 “Could you point in the direction of the open part of this ring?” といった具体的な指示が必要になります。

視力」は英語では visual acuity (VA) 、もしくは単純に vision となります。ですから「裸眼視力」は vision without correction で「矯正視力」は vision with correction となります。ただ視力の表記は、英語圏では日本と大きく異なるので注意が必要です。

英語圏では視力1.0に相当する人が、20 feet(約6 m)離れて見える文字を20 feetで見ることができたら、その視力を 20/20 (twenty-twenty) vision と呼びます。同じように、視力1.0の人が40 feet 離れても見えるものを20 feet でしか見られないとしたら、これは20/40 (twenty-forty) visionとなり、日本の視力0.5に相当します。もうお気づきだと思いますが、日本の視力表記は英語のそれを割り算したものなのです。ですから英語の20/200 (twenty-two-hundred) は、日本の表記でいう0.1となるのです。英語圏では 20/20 の視力があれば “You have twenty-twenty perfect sight/vision.” と伝えて、それ以上の視力を測定することはありません。つまり英語圏では制度上、視力2.0のような視力は存在しないというわけです。ちなみに、六本木の東京ミッドタウンにある “21-21 design sight” という美術館はこの 20-20 perfect sightが語源ですので、siteではなく sight を使っています。

両眼」「右眼」「左眼」は、口頭では both eyes/right eye/left eye となりますが、カルテに書く際には それぞれ Oculus Uterque (OU)/Oculus Dexter (OD)/Oculus Sinister (OS)というラテン語の略語が使われます。ですから、カルテに “Vision with correction: OU 20/20” とあれば「両眼矯正視力 1.0」という意味になるのです。

「疲れ目」や「斜視」は英語でどう表現するの?
では、最後に眼に関する症状と疾患の英語表現を見ていきましょう。

「疲れ目」には色々な表現がありますが、よく使われるものに eyestrain というものがあります。ここで使われている strain というのは「緊張」というイメージの単語で、腰痛などの原因になる muscle strain肉離れ」のようにも使われます。

目に砂などの小さな異物が入ったり乾燥したりすると、「目がゴロゴロする」と表現しますが、これは gritty eyeseye grittiness などと表現されます。

目やに」は英語でどのように表現するのでしょう?目から分泌されるもの全般を eye discharge と言いますが、その中でも特にべっとりとして膿性のものを mattermattering と言います。 多くの方が「事柄」や「重要である」という意味で認識されている matter という単語ですが、「排泄物」や「」としての意味でも使われます。

光の周囲に輪が見える「ハロー」ですが、英語の halo は発音に要注意です。日本語のように「ハロー」のように発音すると hello のように聞こえてしまいます。英語のhaloは「ヘィロゥ」のように発音するので間違えないでください。ちなみに、大谷翔平選手が入団したことで日本でも知名度が高まった Los Angeles Angels ですが、天使の輪にちなんで halos とも呼ばれています。MLBの中継の際によく使われているので注意して聞いてみてください。

 「網膜剥離retinal detachment や 「後部硝子体剥離posterior vitreous detachmentで見られる「飛蚊症」ですが、英語では floaters浮かんでいるもの」と表現されます。日本語のように flying mosquitos のように表現しても、英語では全く通じませんので気をつけてください。

「近くのものでないと見えない」という意味の「近視」は米国では near-sightedness、英国では short-sightedness という一般英語で表現されますが、どちらでも医学英語では myopia となります。同様に「遠くのものでないと見えない」という「遠視」は米国では far-sightedness、英国では long-sightedness という一般英語で表現されますが、どちらも医学英語では hyperopia となります。

二重に見えること」seeing things double には、 double vision という一般英語の他、「複視diplopia という医学英語もあります。どの距離でも「ぼやけて見えることblurry/blurred vision になる「乱視」は astigmatism と呼ばれます。この astigmatism は医学英語ですが、「老眼」の presbyopia と同様、一般の方にも広く普及している表現です。ただ、「老眼鏡」にはこの presbyopia という表現は使われず、単純に reading glasses と呼ばれます。

加齢が進むと誰でも「白内障cataract を患いますが、これは「水晶体lens が「白く濁ること」 getting cloudy/hazy/foggy によって起こります。

日本語の「ものもらい」に相当する一般英語が stye(「スィ」のように発音)です。このうち感染を伴わない「霰粒腫さんりゅうしゅ)」は chalazion(「カレィジィオン」もしくは「チャレィジィオン」のように発音)、そして感染を伴う「麦粒腫ばくりゅうしゅ)」は hordeolum(「ホゥディオラム」のように発音)となります。どちらも一般の方には通じない医学英語ですので、患者さんに説明する際には stye を使うといいでしょう。

弱視」は医学用語では amblyopia と言いますが、一般の方にこの表現を使ってもまずわかってもらえないでしょう。「視力の弱い目が使われないことによってますます見えなくなる」というイメージから生まれた lazy eye が「弱視」として一般に使われている表現です。同じように「斜視」も医学英語の strabismus ではなく、見た目のイメージから生まれた crossed eyessquint という表現が一般的に使われます。

こういった、 lazy eye や crossed eyesは何となく意味が想像できる表現だと思いますが、読者の方にとってなかなかピンとこない表現が surfer’s eye だと思います。実はこれ、紫外線の暴露などが原因として組織が増殖してくる「翼状片」のことで、医学英語では pterygium(pは発音せず、「タリィジアム」のように発音)となります。

さて、そろそろカップのコーヒーも残りわずかです。最後に本日紹介した英語表現をまとめておきます。

 • Ophthalmology: 眼科
 • Eyelid: まぶた・眼瞼
 • Exophthalmos: 眼球突出
 • Proptosis: 眼球突出
 • Von Graefe sign: Lid Lag を意味する eponym
 • Lid lag: exophthalmos/proptosis がある場合、下方を見る時に眼球の動きと眼瞼(lid)の動きに差(lag)が出る所見
 • Blepharitis: 眼瞼炎
 • Blepharoplasty: 眼瞼形成術
 • Double eyelids: 二重まぶた
 • East Asian blepharoplasty: 二重まぶたにする眼瞼形成術
 • Eyelash/lash: まつ毛・睫毛
 • Iris: 虹彩(日本語の「黒目」に相当)
 • White part of the eye: 白目
 • Black eye: 目の周りにできる黒いアザ
 • Periorbital hematoma: 眼窩周囲血腫
 • Red eye: 充血した眼
 • Pink eye: 結膜炎 conjunctivitis の一般英語
 • Glaucoma: 緑内障

 • Visual acuity test: 視力検査
 • Landolt C:ランドルト環(日本で視力検査に用いられるチャート)
 • Snellen Chart: 英語圏で視力検査に用いられるチャート
 • Visual acuity (VA)/vision: 視力
 • Vision without correction: 裸眼視力
 • Vision with correction: 矯正視力
 • 20/20 vision: 視力1.0
 • 20/20 perfect sight/vision: 視力1.0(「完璧な視力」を意味する表現)
 • OU: 両眼
 • OD: 右眼
 • OS: 左眼

 • Eyestrain: 疲れ目
 • Gritty eyes/Eye grittiness: 目がゴロゴロする
 • Eye discharge: 目やに
 • Matter/mattering: べっとりとした目やに
 • Halo: 光の周囲に見える輪(「ヘィロゥ」のように発音)
 • Retinal detachment: 網膜剥離
 • Posterior vitreous detachment: 後部硝子体剥離
 • Floaters: 飛蚊症
 • Near-sightedness/short-sightedness: 「近視」の一般英語
 • Myopia: 「近視」の医学英語
 • Far-sightedness/long-sightedness: 「遠視」の一般英語
 • Hyperopia: 「遠視」の医学英語
 • Double vision: 二重に見えること
 • Diplopia: 複視
 • Blurry/blurred vision: ぼやけて見えること
 • Astigmatism: 乱視
 • Presbyopia: 老眼
 • Reading glasses: 老眼鏡
 • Cataract: 白内障
 • Cloudy/hazy/foggy: 白く濁ること
 • Stye: ものもらい
 • Chalazion: 霰粒腫
 • Hordeolum: 麦粒腫
 • Amblyopia: 「弱視」の医学英語
 • Lazy eye: 「弱視」の一般英語
 • Strabismus: 「斜視」の医学英語
 • Crossed eyes/Squint: 「斜視」の一般英語
 • Surfer’s eye: 「翼状片」の一般英語
 • Pterygium: 「翼状片」の医学英語

では、またのご来店をお待ちしております。

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国際福祉大学医学部 医学教育統括センター 准教授 押味 貴之

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