国試に役立つ「健康で文化的な最低限度の生活」

2018/03/10

110F-12
生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務に関する日本国憲法第25条に規定されているのはどれか。

a「すべて国民は、個人として尊重される」
b「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」
c「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」
d「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」
e「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

正解はe。
個人的に憲法25条は9条の次くらいに有名な気がします。名文。
必修らしい常識問題でした。

さて、今回ご紹介したいのは「闇金ウシジマくん」で有名な
ビッグコミックスピリッツにて連載されている「健康で文化的な最低限度の生活」という漫画。
そのまんまのタイトルなんですが、この作品で扱われているのは「生活保護」についてです。
福祉事務所に勤務する新社会人の義経えみる(主人公)ちゃんが
様々な生活保護者と触れ合って成長していく青春ストーリーという感じでしょうか。

とにかく相当しっかり取材をされているのか、
出てくる生活保護者たちがとてつもなくリアル。いるなあこういう人って感じです。
先日発売された最新刊ではアルコール依存症の話も出てくるので、
そういう意味でも医学生の皆さんにとって勉強になるかもしれません。

お医者さんになられる皆さんにとって生活保護については無関心では済まされません。
それこそ本作品で扱われているような、ケースワーカー的な特殊な職種を除き、
この世の様々な職業の中で医師ほど生活保護者に関わる機会の多い職業は少ないくらいでしょう。
普通の会社員、という方であれば生活保護と関わる機会はあまりないでしょうから…。

勤務している病院にもよると思いますが、
私自身は生活保護者が多い地域で医者をやっていることもあり
生活保護者に関わる機会は非常に多いです。
といっても、基本的には生活保護者であろうとそうでなかろうと
診療自体が大きく変わることはないので、私自身生活保護の手続き的なものや
システム的なものにそう詳しいわけではありません。
なのでこの漫画は大変勉強になりましたね。

医学生以外の方で本ブログを読んで下さっている方は少ないかもしれませんが、
生活保護に対する誤解や偏見も世間では根強いので、是非いろんな方に読んでいただきたい作品です。

コメント

  1. ジャビット

    いつも映像授業でお世話になっています。渡先生の授業は物事の覚え方を教えていただけるだけでなく、内容が理解でき自然と暗記できる授業で、日々の勉強にとても役立っています。
    このブログを今日初めて知りました。いつも画面越しに見ている先生の日常を垣間見ることができてとても面白いです。今後も楽しみにしております。
    少し質問をさせていただきたいのですが、自分はこの四月から地方国立大学医学部の5年生です。はっきりとは決めていませんが、卒後は東京の有名研修病院で働きたいなと思っています。レベルの高い病院でやりたいという気持ちと、地方から出たことがなく、東京への単なる憧れもあります。単なる憧れだけで選んでいいものかと思っており、東京の有名研修病院で研修を行うメリットは何かありますでしょうか。
    また地方医学部から本気でそのような倍率の高い病院を目指す際にどのように勉強していけばいいのか、過去の生徒さんでそのような方がおられましたらどのように勉強していたのかを教えていただければ幸いです。
    ブログの内容とは関係ない長文の内容申し訳ありません。大変お忙しいとは思いますが、お答えいただけたら幸いです。よろしくお願いします。

    1. Dr.渡

      ジャビットさん、コメントありがとうございます!素敵なお名前ですね。
      そしてとてもうれしいお言葉ありがとうございます。
      今後も講義・ブログ共々よろしくお願いします。

      5年生になられるところ、とのことですが、
      早くも研修先のことを考えられていて素晴らしいですね。

      >有名研修病院で研修を行うメリットは何かありますでしょうか
      教育内容については病院によって大きく違うということはないと思います。
      同じ病院でも、何科を回るか、上級医が誰になるかでも全然違いますし
      結局は本人の気持ち次第というか、学ぶ姿勢があれば
      どの病院でもあまり変わりはないのかなと思っています。
      ただ、有名病院で確実に違うことは「同期の友人達が作る空気」かなと思います。
      やはり有名病院に行く研修医は、頑張りたい、勉強したい、名医になりたいという
      気持ちが強い人がとても多いです。そういう空気がつらい、
      と感じる人もいると思いますが、「自分もそういうタイプ」という人や、
      「さぼっちゃうほうだけど周りの空気に引っ張ってもらいたい」という
      タイプの人には大きなメリットと言えるのではないでしょうか。

      >倍率の高い病院を目指す際にどのように勉強していけばいいのか
      同じ倍率の高い病院でも、重視しているポイントはそれぞれ違うと思いますので、
      ある程度病院を絞ったら、あとはその病院に行った先輩に訊くとか、
      見学に行って研修医に訊くことが大事かと思います。
      見学に行けば研修医の先生は快く率直に対応策を教えてくれると思いますよ!

      私が言えるのは一般論に過ぎませんが、やはりいわゆる人気病院は
      ある程度の学力と面接能力が求められていると思います。
      ただ、勉強についてはマッチング専用の勉強というのはあまりないと思いますので、
      普通に国試の勉強を進めておくことがそのままマッチング対策になると思います。
      マッチングの試験が6年の夏頃かと思いますので、
      6年の夏までに全教科をしっかり固めておけるといいですね。
      病院によっては、英語や論文、公衆衛生まで出すところもあるので、
      それらも対策しなければいけない場合は、5年生中に
      全教科国試の勉強を終らせておくとより確実かと思います。

      この度はご相談ありがとうございました!
      ジャビットさんのますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。

  2. ジャビット

    渡先生お忙しい中ブログとは関係ない質問に答えていただきありがとうございます。こんなにも明確、具体的に回答していただけてとても嬉しいです。
    周りの同期のことは考えてもいなかったです、どちらかというと自分は周りに引っ張られるタイプであるので、それは非常に大事なポイントだと思いました。
    また、見学もまだ行っていないので積極的に参加していこうと思います。
    自分の希望に添えるよう、まずは日々の映像授業で渡先生の授業を一言一句聞き漏らさず取り組み、先生の仰ったペースで頑張ってみようと思います。
    相談に乗っていただいてありがとうございました。これからの授業、ブログ楽しみにしております。ありがとうございました。

    1. Dr.渡

      いえいえ!お役に立てたならとても嬉しいです。
      5年生になるとポリクリ諸々忙しくなりますが、だからこそ
      いろんなことを早めに進めておくのはいいことだと思います。

      私もより良いものをお届け出来るように努力していきますので、お互い頑張りましょう!
      この度はコメントありがとうございました。

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