2018/10/01
すごく今更な話なのですが、夏に一泊だけ軽井沢に行っていました。
例によって文学オタクも一緒であったため、軽井沢では「堀辰雄」ゆかりの地を巡ることに。
さてさて、堀辰雄と言えば「聖家族」「菜穂子」などで知られる、主に昭和初期に活躍した文豪です。
芥川龍之介に師事したと言えば分かりやすいか、いやそれ以上に「風立ちぬ」の名を出すのが一番ですね。
「風立ちぬ」と言えば2013年にスタジオジブリがアニメ化したことで有名です。
まああれは堀辰雄の同名小説を下地にしてはいるのもの大幅なアレンジが加えられているので
完全なアニメ化と言えるかはやや微妙なところですが。でもジブリ版の「風立ちぬ」、私は大好きです。
※Dr.渡のジブリアニメ語りはこちら
「風立ちぬ」は結核女性との悲恋を描いた作品ですが、
実際堀辰雄は自身も結核に悩まされ、妻も結核。そして妻の介護を献身的に行ったことも事実です。
そんな堀が愛した地が軽井沢なのですね。軽井沢は当時結核のサナトリウムが沢山あったことで有名です。
追分の堀辰雄記念館(中は撮影禁止だったので外観だけです。入り口は森のようになっています)。
中には結核で苦しむ堀辰雄の心境を表したメモが。
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病 堀辰雄
僕の骨にとまっている 小鳥よ 肺結核よ
おまへが嘴で突つくから 僕の痰には血がまじる
おまへが羽ばたくと 僕は咳をする
おまへを眠らせるために 僕は吸入器をかけよう
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泣ける…・゚・(ノД`;)・゚・
さすがは文学者。結核は当時不治の病。一生付き合わなければなりません。
それならばと、その苦しみをせめて小鳥に例えた堀の心境が伝わってくるようですね。
それじゃあ今回は結核の問題です。
96B-19
肺結核について正しいのはどれか。
a Mycobacterium tuberculosisの経口感染による。
b 1次結核は手術の適応である。
c ツベルクリン反応陽性なら手術療法を開始する。
d 排菌が陰性化した時点で手術を行う。
e 標準的な薬物治療にはリファンピシンが含まれる。
堀が活躍したのは昭和初期(1920~40年代頃)。結核の治療薬が矢継ぎ早に開発されたのは1940~1960年代頃。
もう少し早ければと思わずにはいられません。現在は1960年代に開発されたリファンピシンが標準治療に含まれています(正解はe)
いつも楽しく拝見させていただいております。
授業も楽しく勉強させてもらっております。
ブログの内容と関係なく、勉強の話で申し訳ありません。良ければ先生の意見をお聞かせください。
現在5年生です。国試勉強の際、多くの薬が出てくると思うのですが、その薬の作用などを理解するのに先生オススメの本や参考書があれば教えていただけないでしょうか。
先生が授業で言われる薬の動態などのお話のような、理解して覚えることのできるようなものがあれば幸いです。
よろしくお願いします。
ジャビットさん
こちらこそコメントありがとうございます!
受講、勉強などお疲れさまです(=゚ω゚)ノ
なるほど、本や参考書についてのご相談ですね。
ちょっとこの場ですと具体的に書籍名などを挙げることができないのですが、
私は一応2冊ほど、薬だけを扱った専門の本を持っております。
各教科ごとに薬をピックアップした本もあると思いますが(「循環器の薬」「消化器の薬」など)
専門医レベルのものが多いので、どちらかというと1冊で全診療科の薬をさらっと見られるものが好きですね。
学生時代は、出版社も正確な書籍名ももはや覚えていないのですが、
4年生の時に買った「CBTの薬」みたいな本を6年生まで持っていて時々参照していました。
個人的には国試受験にあたって薬を微に入り細に入り勉強する重要性は、
疾患に比べれば低いかと思いますので、安直な本を一冊持っておく程度でも十分ではないかと思います。
ただ、ジャビットさんの場合は5年生なので時間があるなら勉強してみてもいいかもしれないですね!
そして薬について学生さんから需要があるなら私も勉強して
講義などで少し取り入れてみようかな!と思いました(笑)貴重なご意見、ありがとうございました!
お忙しい中、早速のお返事大変ありがとうございます。
大変参考になりました。おっしゃる通り薬を覚えていくほど疾患の内容を完璧に覚えているわけではないので、まずはそちらをこなしながら何か一冊を参考程度に覚えていこうと思います。
ありがとうございました。
先生のブログをチェックして、更新されてたらラッキーと思いながらたのしみませて頂いてます。
これからもよろしくお願いします。
巨人、なんとかCSいってほしいですね!
ジャビットさん
ありがとうございます。
不定期更新ではございますが、こちらこそこれからもよろしくお願いいたします。
素敵なお名前なのでよもやと思っておりましたが同志の方でしたか(笑)
3位争いから目が離せませんね。まあ、優勝してほしいのですがね…
以前はわざわざ丁寧に回答して頂きありがとうございました。
今回はちょっと臨床的な話について渡先生の御意見を聞かせていただきたいです。
とある研修医の先生が夜間当直で経験された症例です。
30代の女性
主訴:腹痛及び38℃台の発熱
バイタルや身体所見やエコーやX線では上記以外に大きな異常所見を認めず。前日に歯科医で抜歯を行って痛み止めを服用している。
研修医の先生は抗菌薬を処方してさらに症状が続くようであれば、翌日再度来院してもらうように伝えて、患者さんを返したそうです。
そして翌日になって症状が増悪したため再度来院されて、腹部CTを撮影したところ腸閉塞と判明し、緊急手術となったそうです。
自分の推論になりますが、歯科医で抜歯した際に処方された痛み止めがロキソニンの可能性がある。
ロキソニンといえば2016年に話題となった副作用の腸閉塞の追加があったかと思います。とはいえ過去3年間でロキソニンと腸閉塞の因果関係が否定できないと分かっているものは僅かに5件だそうで、こんなレアケースが本当にあり得るのか?そもそも今回の腸閉塞が痛み止めと関連しているのか?凄く悩みました。
仮に自分が同様の症例を体験したとして、ロキソニンを服用して腹痛がある人全員の腹部をCT撮影するわけにもいかないだろうし、かといって腸閉塞の対応が遅れてしまうと、命にも関わりかねないですし、どうすべきだろうと凄く考えさせられました。
情報も少なく、正しい答えはないかもしれない非常に難しい症例だと思いますが、仮に渡先生が当直医だった場合どのように対応されたでしょうか?
新5年生さん
いえいえ、こちらこそコメント頂き誠にありがとうございます!
>仮に渡先生が当直医だった場合どのように対応されたでしょうか?
おっしゃる通り実際に居合わせているわけではないので何とも言えない部分もありますが
私だったらその研修医の先生と同じ対応をしたかもなーと思います。
ロキソニンはOTCでもあるので飲んでいる人は山ほどおり、
逐一イレウスの可能性まで考える先生は少ないかもしれませんね。
初期には所見がそろっていないこともあり、早期発見というのはなかなか難しいものですので、
このケースのように後になってわかるということ自体は臨床現場では非常によくある話です。
ただ、この女性は開腹歴なども無いのでしたら確かにロキソニンの影響という可能性もあるのですね。
もしそうであればカンファや症例報告会などにも出せそうな勉強になる症例だなあと思いました。
そして、新5年生さんは症例からとても多くのことを学び、考えておられるのですね。
前述の通り早期診断は出来なくても責められないケースの方が多いのですが、
それでも過去の症例報告や副作用報告から低い可能性でも考慮できるというのは本当に大切なことだと思います。
これからもお互い、色んな経験を積んだり症例を聞いたりしてもっと良い臨床推論が出来るようになりたいものですね。
この度は貴重なお話を誠にありがとうございました。
いつもお世話になっております。医学部4回生で、渡先生のCBT講座を受けております。
渡先生の講義は、テキストをただ読み上げるのではなく、その一つ一つを丁寧に分かりやすく解説してくれるので、本当に理解しやすく助かっています。
進級試験前にその科の講義を聞いて理解することで、知識の整理ができ、大変助かりました。
あれ程の分かりやすい講義を一コマ作り上げるためには、どれくらいの準備時間を要しているのでしょうか。私自身も人に教えるのが好きなのですが、渡先生の講義は矛盾もなく疑問に思うところもほとんどなく、頭に入りやすいよう綿密に話の流れを練られているように感じています。それで純粋に気になって質問させていただきました。勉強の話とあまり関係なくてすみません笑
それと、渡先生の講義を聞く時、テキストに書いてないけれども納得しやすい解説を口頭で沢山していただけるので、私はそれを可能な限りテキストに自分で理解しながら写しています。その結果として、1コマ1時間程度であっても3時間を超えてしまうことが多いです。人それぞれだとは思うのですが、周囲にCBT対策で予備校の講座を取っている人は私の大学では少なく、これが適切なのか確認する術がなく少々不安に思っています。1.5倍速程度で視聴している人もいると聞き、早く何度も繰り返して聴くスタイルもあるのか、と思うと、どのような聴き方が一般的なのかが気になっています。先生としては、あの講座は視聴にどれくらいの時間がかかるものとして作っていらっしゃるのか、ご意見が聞きたいです。宜しくお願いします。
最後になりますが、渡先生のCBT講座は革新的に分かりやすく、各科の理解を本当に深めて下さいました。先生の解説を書き込んだテキストを何度も読み返して、CBT合格のためにあと少し頑張ります。
MEC CBT講座受講者ですさん
こちらこそいつもお世話になっております!
講座を受講頂き、沢山お褒めの言葉を頂き、
しかもブログにコメントまで頂き嬉しさトリプル(?)でありがとうございます。
試験に役立ったと言って頂けるのが塾講師にとって最も嬉しいことです。
少しでもお役に立てたのであれば大変光栄に思います。
MEC CBT講座受講者ですさんも人に教えるのがお好きなのですね。
医者の仕事には「患者への説明」みたいなものが多々あるので、
説明がうまい先生は本当に尊敬の的なのです。将来も楽しみですね♪
準備期間についてですが、ご受講頂いているCBT講座は何年も前に収録しているものです。
当時は、だいたい収録前に一通り練習みたいな感じでやっていたと思うので
収録60分の講座であれば準備もだいたいそれと同じ60分くらいだと思います。
最近は60分の講座であれば講義の練習や準備だけで120分くらいはしていることが多いと思います。
いずれにせよテキストを作る時間を含めればもっと行きますし、講座にもよりますが。
受講スピードについては、原則等倍で流した場合と同じ時間で想定しています。
が、とても個人差が大きいところなので「等倍で観てね」というつもりは全くありません。
一方で「2~3時間かけてね」「早回しで観てね」とも言いません。
「自分のペースで調節して観てください」というのが本音です。
受講スピードは、学年やその人の学習状況によって大きく異なると思っています。
6年生で講義慣れしている方や、すでに自己学習や学校の講義などで一通り知識が入っている人、2回目以降の視聴の人などであれば
早回しで観ても全く問題ないですし、4年生でまだあまり慣れていないようであれば、等倍や止めながらの受講がいいと思います。
ビデオ講座のいいところはその辺を自分で調整できることでもあるので、その辺は自由でよろしいかと!
苦手教科はゆっくり観て、得意な教科は早回しで観る!なんて人もいますよ。
MEC CBT講座受講者ですさんは本当に丁寧に観てくださっているのですね。心から嬉しく思います。
もちろん、長時間の受講や勉強が苦痛でないのであれば、そのような勉強法もとてもいいと思います。
私としては「書いていること=重要度が高く必ず覚えておくべきこと」
「しゃべっているだけのこと=しっかり覚える必要はなく、一度聞いておけばいいこと」と明確に区別しています。
「勉強にあまり時間を割けず、効率的に手っ取り早く勉強したい」方は板書や書き込み部分のみ、
「しっかり勉強しておきたい」方は口頭部分まで書く、などといった具合に、
どなたでもお楽しみいただけるように工夫しているつもりです。なので、細かく書いて下さる方も多くいらっしゃいますよ。
国試向けの講座でも、基礎部分は一部CBT講座とoverlapする部分もあるので、
今丁寧に聞いておけば、国試向けのものを観る時は早く済ませられたりもするかもしれません。
CBTが近いようですが、体調に気を付けて合格まで頑張ってください!
この度はご丁寧なコメント誠にありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。