Parkinson病について大事なこと~後編~

2018/11/12

前回に引き続きParkinson病について大事なことです。
前編はこちら:Parkinson病について大事なこと~前編~
今回は予告通りDATスキャンについてのご紹介です。

そもそもDATとはドパミントランスポーターの略称で、黒質ドパミン神経の神経末端に存在します。
出し過ぎたドパミンの再取り込みをするっている働きがあります。
黒質ドパミン神経は線条体(被殻・尾状核)に投射するので、神経末端があるのは線条体の部分ですね(下図)
dat01

DATスキャンは核医学的検査の一つですが、DATに取り込まれやすい物質を患者に静注します。
何時間か待って撮影すると、DATがその物質を取り込んでおり、取り込んだ部分が光って見えます。
こんな感じ。
110B-53-55B正常対象
DATがあるのは線条体にある黒質ドパミン神経の末端部なので線条体の部分が光って見えます。

しかし、Parkinsonismを来すような疾患たちで、
黒質のドパミン神経が死ねばDATも死ぬので光らなくなるという原理です。
dat02

実際の画像はこんな感じ。
110B-53-55B

DATスキャンで国試的に大事なことは以下の2つです。
①そもそも変性疾患なのかどうかが分かる
例えば本態性振戦とParkinson病も非常に誤診が多いのですが、
本態性振戦はいわゆる変性疾患ではない(黒質ドパミン神経の脱落はない)ので正常に両側ピカッと光ります。

②Parkinson病とその他のParkinsonism疾患との鑑別に使える。
Parkinson病だと左右非対称性に取り込みが低下します。こんな感じ。
111A-45
DLBとParkinson病も非常に誤診が以下略!
しかしDLBであれば両側対称性に取り込みが低下するのが特徴なので鑑別に使えます。