ステロイドと抗菌薬を併用している時のアタシ無敵感

2018/11/15

渡です。

強膜炎を繰り返すことがあり、こんなセットで点眼を行っています。
koust

抗菌薬とステロイド。鉄壁の処方ですね。
強膜炎と言えば国試的にはリウマチに合併するというのが有名ですが、
別に全例そうというわけではなく、私のような健常人に原因不明に起こってきたりします。
原因不明だけど痛いので痛みを抑えましょうということでステロイド。
感染の関与もあるかもしれないし、無いとしても予防的にやっとこうか、ということで抗菌薬。
どこから攻めてこられても大丈夫な気がする、大変心強い処方でありますf02

ところでリンデロンVG軟膏というのがあります。
リンデロンはステロイド。Gはゲンタマイシン(=抗菌薬)。
ステロイドと抗菌薬が混ざってる塗り薬です。
皮膚の相談は何科に行っても受けるのですが、皮膚科以外の医師はあまり皮膚のことに詳しくありません。
もちろんあんまりひどい場合や、危険な疾患が疑われる場合は皮膚科に送りますが、
そこまででもない、軽くて小さい皮膚病変であればリンデロンVGを処方する医師は多いです。
アレルギーだとしてもリンデロンでカバー。感染だったとしてもゲンタマイシンでカバーみたいな。

108I-78
28歳の女性。激しい頭痛を主訴に来院した。3日前から発熱とともに前頭部痛が生じ、次第に増強してきた。
今朝はさらに高熱となり少しぼんやりしていた。意識レベルはJCSⅡ-10。体温40.2℃。脈拍140/分、整。
血圧126/72mmHg。項部硬直とKernig徴候とを認める。対光反射、眼球運動、四肢の運動および腱反射に異常なく、
Babinski徴候も認めない。血液所見:赤血球380万、Hb 12.0g/dL、Ht 38%、
白血球16,000(桿状核好中球18%、分葉核好中球62%、単球4%、リンパ球16%)、血小板18万。
CRP 26mg/dL。頭部単純CTで異常を認めなかったので腰椎穿刺を行った。
脳脊髄液所見:初圧240mmH2O(基準70~170)、外観は淡黄白色に混濁、細胞数5,600/mm3(基準0~2)(多形核球100%)、
蛋白230mg/dL(基準15~45)、糖8mg/dL(基準50~75)。脳脊髄液のGram染色でGram陽性双球菌が見られた。
治療薬として適切なのはどれか。2つ選べ。

a メロペネム
b アシクロビル
c カナマイシン
d アムホテリシンB
e 副腎皮質ステロイド

診断自体は簡単(細菌性髄膜炎)なのですが、正答率は40%とかなり低い問題でした。
正解はa,eですが、aを選べてeを選べなかった方が多い。
おそらく当時の受験生の感覚として「感染にステロイドを使うなんてありえない」という考えだったのでしょう。
でも実際ステロイドと抗菌薬を同時に処方することはとても多いのです。

①基本自己免疫とかでステロイド長期に使うなら副作用(易感染性)対策として
 抗菌薬の予防投与をするのでだいたい一緒に使います。
②明らかに感染症と断言できるなら無駄にステロイドを使うことはあまりありませんが、
 炎症が命を脅かすような場合ステロイドを併用することがあります(本問はコレ)
③原因がはっきり特定できないor特定する必要ないような場合に併用してみたりします(冒頭に述べたのがコレ)

大事なのは②でしょうか。ステロイド=免疫抑制作用というのは正しいのですが、
それ以上にステロイドは強烈な抗炎症作用を持ちます。
むしろ臨床医にとってステロイドの頼もしさは抗炎症作用にある。患者さんを苦しめるのは炎症ですからね。

なお、タイトルになっている「ステロイドと抗菌薬を併用している時のアタシ無敵感」を感じられるのは③くらいでしょうか。
①だと、ステロイド長期使用が必要な状況というのがそもそも怖いし、
②だと本問のように命にかかわって来るようなシチュエーションも多いので
とてもじゃないけど無敵!安心!という感じではないですkao19
私自身先日声帯炎を起こした際の処方がステロイド内服30mgとニューキノロン。
声帯炎自体は本来命にかかわる疾患ではありませんが、
予備校教師にとっては割と死活問題なのでやはり無敵感はなく心配でした。でも、とても頼もしい処方でした!