113回国試攻略講座vol.5 肝胆膵編

2018/12/06

~113回国試攻略講座のお約束~
※本年度の国試攻略講座の切り口は
①近年、各診療科で注目を受けていることは何か
②各教科、新しい知識はどれくらい、何年くらいのラグで出題されているのかの2つとなります。
①は「国試の過去問はもう飽きるほど解いて、プラスαで一歩踏み込んだところまで勉強しておきたい」という方向けで、
②は「最低限のことだけで国試を乗り切りたい。新しいことをどこまで勉強すべきなのか分からない」という方向けです。

※各教科の近年の出題傾向や頻出疾患、効率的な勉強の仕方についてはこちらの記事もご参照ください。
→111回国試攻略講座vol.5 肝胆膵編

■ 近年臨床医の間で注目されていること

医療現場全体が革新的に変わりました。
肝胆膵領域のみならず、医療界全体に激震が走る画期的すぎる出来事。
「C型肝炎がインターフェロンフリーでほぼ100%治る」
2014年を皮切りにDAA(直接作用型抗ウイルス薬)が矢継ぎ早に開発されていまして、
ガイドラインが年に2回も3回も変わるカオスな出来事に。こんなに変わっては問題が作れません
(出題者が問題を作った後に治療が変わってしまう可能性があるため)
〇〇ビルとか紛らわしい名前の薬が大変多いのですが、
一個一個薬の名前や第一選択薬をこまめに覚えていく必要はないと思います。

■ 比較的新しい治療や概念に対する実際の出題

・EOB造影MRI。主に肝細胞癌の診断に、現在広く用いられている検査法です。
EOB造影剤は2007年販売開始→111回(2017年)国試出題あり。10年遅れの出題となりました。
なお、知らなくても解ける問題でしたが…。

・C肝がアレ過ぎて見逃されがちですがB肝もかなり変遷激しい分野です。
2000年ラミブジン、2006年エンテカビル、2014年テノホビル。
ラミブジンは変異耐性起こしやすいので現在第一選択ではありません。なお、ラミブジン以外はまだ出題なし

・2013年に胆嚢炎のガイドラインが変わっておりまして、
「手術(胆摘)が出来る全身状態なら手術が第一選択」という方針になっております。
CBT時代に胆嚢ドレナージが第一選択で覚えた方もいると思いますが、一応現在は基本手術の方が良いです。
胆嚢炎の治療を選ばせる問題は112回、109回、107回…とまあ
定番なほど出まくっていますが、胆摘かドレナージのどちらかを選べという問題は出ていません。
(両方正解にしてるか、そもそも片方選択肢にないか)
これに関しては、新しい内容を出したくないという事情以上に、実際臨床現場でそんなに胆摘が
出来ているのかというと、そうでもないからという事情があるものと思われます。
第一選択なのは分かるしやりたいのですが、よほどの病院じゃない限り外科の先生が何人も当直していません。
結局胆摘したくても出来ないからドレナージでやってることも多いのです。大人の事情!