だからこそ今進行性多巣性白質脳症

2020/01/13

というわけで今回は進行性多巣性白質脳症〈PML〉の話です。
実は前回の記事はこの記事を書きたいがためのフリでもあったのだあああ!
というわけで前回記事をご覧になっていない方はこちらをご覧ください→MSの治療薬をまとめてみた

さて。進行性多巣性白質脳症というのは一言で言うなら
免疫機能低下によりJCウイルスが活性化し脱髄を来す極めて予後不良な疾患です。

JCウイルスという言葉は国試(112A58)にも出てきていますが、
このウイルス自体は本来そんなに怖いウイルスではなくて、
成人の70%はすでに感染していると言われていますので
悪さをしないだけで私や皆さんも普通に感染しているようなウイルスなのです。
問題は、免疫能低下を契機にこのウイルスが活性化してきて、中枢で脱髄を起こしてくるということ。
だからPMLと言ったら古典的にはAIDS患者に起こるというのがすごく有名なのです。

中枢のあちこちで脱髄が起こるので、麻痺やら精神症状やらなんでも起こってきます。
症状的には特異的なものがないので、決め打ちはできないです。
やっぱり病歴が第1ですね。免疫抑制状態の人に起こるってところがミソ。
HIV感染歴がないか、また免疫抑制を来す薬剤を使ってないかは確認しましょう。

画像的には中枢の脱髄を来す疾患ですから、ある意味MSにも似ています。
でもMSの場合は境界明瞭の円形な脱髄斑になるのに対し、PMLはもやっとします。
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よく臓器別で疾患のイメージを掴みましょうという話をしますが、PMLについては
「超こわい」というイメージでいいと思います。1年以内に一気に死ぬような症例が多く、予後不良です。
PMLそのものを劇的に治す薬もなく、背景にAIDSがあるならART、薬のせいなら薬の中止をするしかない。

前回お伝えした通り、進行性多巣性白質脳症〈PML〉はガイドライン新規追加疾患です。
最近の国試はcommon diseaseを重視しているわけですが、
PMLは極めて稀な疾患で、神経内科に進んだとしても一生出会わないかもしれないレベル。
にも関わらずこれがガイドラインに追加されたのはやっぱり
近年様々な分子標的薬や生物学的製剤(多くは免疫抑制を来す)が出てきているので、
それだけPMLのリスクが上がってきているということなんです。
前回はナタリズマブがPMLを起こすと言いましたが、実は他のMS治療薬で起こることもありますし
皆が知っているリツキシマブやインフリキシマブで起こったという報告もあります。

だからこそ今、進行性多巣性白質脳症!

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