標準医学シリーズ [医学書院eテキスト版] Dr.孝志郎流オススメ活用法!

2018/07/06

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臨床で基礎医学に立ち戻る医師はちょっとカッコイイ?

―― 生理学や薬理学など基礎医学の学習は、臨床に出てどのように役立つのでしょうか。「標準医学シリーズ〔電子版〕」のメリットと併せて教えてください。

病棟での臨床実習に出て、たとえば「内科診断学」を読む人は多いでしょう。でも、そこで「標準生理学」を開く人はちょっとカッコ良くて、「あいつできるぞ」と思われるんですよ。臨床に出てもなお、基礎医学に立ち戻ることはとても重要。病棟での疑問解決へのヒントを基礎医学に見出そうとするのは、「こいつ頭いいな」と思われる可能性大です。
そしてこの標準医学シリーズは、基礎医学講座においても具体的な症例に基づいた記載がなされているのが特徴的です。たとえば「動脈硬化症」の生理学での記述(生理学で考える臨床問題)を見ると、基礎的な病態生理を説明する前に、「42歳男性、生来健康であり…」という症例が導入として紹介されているんですね。
3年生まで基礎医学を勉強してきたのが、4年生になっていきなり病棟の臨床実習に出されて面食らう医学生も多い中で、基礎医学講座の学習段階から、実際の症例をもとにした臨床の視点をもちながら学べるのは実践的で楽しいと思いますよ。

―― 実際に「標準医学シリーズ〔電子版〕」を見て、どんなところが優れていますか。

画像やイラストの美しさは秀逸です。視覚的にわかりやすいので、頭に入りやすい。特に解剖学の学習内容において、詳細な図やイラストを自由に拡大して確認できるのは理解が深まります。たとえば肝臓が縦切りのイラストで描かれ、門脈と肝静脈まで非常に細かく表現されている点には驚きましたし、臨床につながる画像と併せて、薬理学の基礎的な記載がなされていることもうれしいですね。
そして何よりも、基本的な学習機能が充実している点が電子版ならではのメリットでしょう。全タイトルの横断検索機能やマーカー・メモ機能、しおり機能などを使うことで、自分ならではの方法で学習の幅を広げることができます。

一つのワードに対して多彩なアプローチができるのが楽しい

―― 機能を活用した使い方として、どんな利点が考えられますか。

私がしおりを付けた一つに、「虚血性心疾患」の薬理があります。慢性心不全の患者さんの治療にはβ遮断薬を用いますが、内科診断学はもちろん、そこで標準生理学や標準薬理学からも「β遮断薬」というワードにアプローチできる点が秀逸。つまり検索機能を駆使することで、電子版という一つのデバイスの中で、単一のワードを多様な切り口から見ることができるから、どんどん基礎の知識が深まっていくわけです。
臨床の場では、常に何が起こるかわからず、未知の疾患に遭遇する不安が特に若い先生にはあるものです。だからこそ基礎に立ち戻ることは必要で、臨床での疑問が基礎医学で解決できたという満足感を得ることが、実は大切な感覚なんです。それを積み重ねていくことで、臨床医学に対する自信が備わります。
医学生の皆さんも、電子版による生理学や薬理学などからの多彩なアプローチ方法によって学びを深めることで、臨床医学の講義や臨床実習での具体的なイメージが広がると思いますよ。

―― 基礎医学の試験対策やレポート作成においては、どのような点が有用でしょうか。

基礎医学の先生って個性的な人が多いんです。そんな先生たちが作る試験ですから、採点もおのずと厳しい(笑)。でも、基礎医学の先生自身もわかっているから、3カ月に一度くらいで学生にレポートの提出を課すことがあります。その内容によって、試験の点数に「下駄を履かせてくれる」ことがあるんですね。そうしたとき、レポートの質を上げるために活用しがいがあるのがこの電子版でしょう。必要なことが、必要なだけわかりやすく表現してある。だからレポートに活用できる要素が非常に豊富です。
多くの医学生は最初、何をレポートのソースにすればいいのかがなかなかわかりません。そんなとき、先輩が作った当てにならないレジュメに頼らなくても(笑)、この電子版があればスムーズに学びが深まります。
実は、レポートを書くときに減点対象になりやすいのが、出典を明確に記載したかどうかなのです。私も学生のときにそれを知らなくて、生理学でマイナス点をもらったことがある(笑)。この標準シリーズから出典を明確にしておけば、きっとそんな心配も無用ですね。

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どこにでも手軽に携帯でき基礎から臨床まで幅広く学べる

―― あらためて、「標準医学シリーズ」が電子版になったことのメリットはどう感じますか。

今までの標準シリーズは、中身の充実度はとても信頼できるものでしたが、すべての本を持ち歩くなんてことは不可能でした。数冊でも持てば軽く筋トレになるというレベルだったのが(笑)、タブレット一つですべてのテキストを見ることができるようになりました。オフラインでもOKだからネットワークも不要で、どこでも携帯して使えるのは革新的です。
そして私が、電子版を使って「楽しい!」と思った一番の要素は、それぞれのタイトルを常に横断しながら学べる点ですね。私は、本気で勉強するときは、従来の標準シリーズの分厚い本を、1冊は膝の上に乗せ、1冊は机の上に開き、もう1冊は右手で開いて…という形で知りたい事柄を調べていました。一つのワードについて、薬理学や生理学、内科診断学等でそれぞれ何と書いてあるかを調べながらノートにまとめていたんです。
その作業が、電子版ではだんぜん効率的になりました。たとえば「統合失調症」も、標準精神医学や薬理学、生理学等の多様な切り口から容易にアプローチできます。統合失調症はドパミンのレセプターをブロックすることが有効であり、それにはハロペリドールを投与することだとわかる。一方で精神医学の観点からも理解が進みます。こうした多角的な切り口からどんどん知識を得ていけるのがとても楽しいんですよ。
総合診療を学んでいくには、縦に割れるいろんな科目を横断的に編み込んでいくような「横の糸」がとても大事です。縦の糸は、タイトル1冊を極めれば身につくものですが、横の糸を編み込むには全科目を網羅しなければなりません。それがこの電子版で可能になったわけで、総合診療医を育てるには至高の逸品といえるでしょう。
眺めていると楽しくなって、深く読みたくなるのがこの電子版です。気になるワードに触れると、基礎から臨床までの世界が一気に広がっていく楽しさに出会えると思います。

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