MECエージェントは「新専門医制度」が始まって以来、キャリアで悩む初期研修医の皆様からの相談を受けています。その方々に向けてDr.孝志郎にアドバイスとメッセージをいただきました。

―― まずは先生のこれまでのキャリアをお聞かせください。

Dr.孝志郎:初期・後期研修医を東京都多摩北部医療センターで研修しました。たすきがけで当時の東京都立府中病院(現在の東京都多摩総合病院)でも研修しています。ぼくのファーストステップは神経内科とER。ERは双方の病院でかなり鍛えられました。神経内科に進んだ理由としては、学生時代から好きだったことと、当時、心原性脳塞栓症急性期に使用する「t-PA」が出てきて、注目されはじめていた「脳卒中ガイドライン」にも記載されるようになったんです。このような時代の流れにも乗りました。

―― 平行してPOEMSの研究もされたとうかがっています。

Dr.孝志郎:その通りです。プラズマサイトーマPOEMSの研究に熱心に取り組みました。
2006年には、日本血液学会と日本臨床血液学会の合同総会で、「サリドマイドが著効した治療抵抗性POEMS症候群」という論文を発表しました。そして時を経て2018年、日本内科学会でPOEMSが、「21世紀に入って最も予後が改善した血液悪性腫瘍の一つ」と評価されたのです。感激しました。ぼくは神経内科を選んで、そこから子供が2人産まれたと感じています。臨床で向き合った心原性脳塞栓症とサリドマイドPOEMSの研究です。この二つが僕のキャリア形成の重要なポイントとなりました。臨床、研究ともに大変充実していましたね。

―― 以前、孝志郎先生から、「総合病院の心臓外科やER当直に入りたいので、病院を紹介してもらえないか」というご相談をいただきご紹介したことがありました。その経緯を教えてください。

Dr.孝志郎:ぼくは研修終了後、在宅診療医として勤務しました。在宅診療に進んだ理由としては、2006年の医療法改正で在宅診療を浸透させるための制度が新設されたんです。ここでぼくは、「在宅診療の時代がきたな」と思いました。だから研修終了と同時に在宅診療に携わることができる病院を探して、在宅診療24時(笑)を回す歯車になりました。ここでも時代の流れを読んで乗ったわけですね。
そして在宅診療医をしながら、2007年にメック講師になりました。当時は徹夜で診療してそのままメックに行くことがよくありました。がむしゃらにやっていましたね(笑)。
ぼくは神経と血液、在宅診療に携わりましたが、実はその間循環器の勉強もしていました。最初は循環器内科の先生に教えていただきましたが、いつしか心臓外科も勉強したい、と思うようになりMECエージェントに相談した、というのが経緯です。
そこにはたまたま大学の先輩がいらっしゃって、その先生にいろいろと教えていただきましたね。何度もオペ室にも入らせてもらって、かなり深く勉強できました。

―― メック講師と並行して開業された現在と、先生のこれからについて教えてください。

Dr.孝志郎:クリニックは2015年夏にオープンしました。おかげ様で、日本のみならず海外からも口コミで患者さんがいらっしゃるようになりました。更に、大学病院などでも診断がつかなかった患者さんも次々といらっしゃいます。このような患者さんにしっかりと診断をつけてあげられるように、一人ひとりとじっくり向き合っています。
そして、ぼくのキャリアの行く先はやはり「総合診療」。神経内科で医師として根を張り、白血病の研究と心臓外科で幹を育て、大樹へと成長させる最後の一つが総合診療だと思っています。

―― 多くの医師が今まさに「総合医」としてのキャリアの積み方に迷っている時代です。我々も相談を受けることが多いのですが、先生がこの先「総合医」としての道を究めるにあたり、彼らにアドバイスするとしたら何でしょうか。

Dr.孝志郎:総合医に必要な条件は「救急」そして「在宅診療」です。これをある程度やっていること。これが総合医の必要条件だとぼくは考えます。ERで救急できるぞ、ってなると頼りがいがありますよ。ぼくは医者ってつまるところ頼りがいだと思っていますから。在宅診療もやっぱり時代の流れで増えていく部分で、そこでは総合医が一番力を発揮できる。

―― 先生が今「時代の流れを読む」と、これからはやはり「総合医」といえるわけですね。

Dr.孝志郎:そうです。救急と在宅診療、これが縮小するわけがないので。地味で嫌だって思う若い人もいるかもしれない。それならプラスアルファのオプションを自分でつけるんです。総合医ほどオプションがつけやすい科目はないですよ。ぼくのオプションは「医学教育」です。こういったオプションを各自がつければよいわけです。
総合診療は、一回休職した方、他の科からの転科を希望する方も多いと思いますが、なかなか踏み切れない人もいますよね。まず一歩踏み出すことが重要ですが、どこに踏み出せばよいかわからなければ、ぼくは「在宅診療に一歩踏み出しなさい」と言います。そこから必ず広がるので。

―― 最後に若手医師にむけてメッセージをお願いします。

Dr.孝志郎:どんな形でもよいから、自らがやってきたことを形に残してください。キャリアとしてやってきたことを言葉で説明することは、誰にでもできます。でも、形に残している人と残していない人では、説得力が全く違ってくる。
「形」とは、医師として「王道」な、学術としての「形」です。例えばぼくだったらサリドマイドPOEMSの論文です。これで論文検索サイトに名前が残ります。掲載された日付も残る。こういったcertificationを残していきましょう。20-30代にがむしゃらにがんばって、そしてしっかりと形を残してきた人は、40代以降、医師として揺るがない土台がしっかりと築かれているはずです。

Dr.孝志郎
宮崎大学医学部卒。Dr.孝志郎のクリニック院長。2007年よりメックの講師となる。類稀なる予想的中力と、わかりやすく聞き取りやすい講座、明るく楽しい人柄で、圧倒的な人気を誇るカリスマ講師。

インタビュアー:MEC TOP AGENT 大城 健太郎

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