【Part.2】医師編(初期・後期研修、診療)ハリソン内科学を活用したDr.孝志郎流”スペシャル”勉強法

情報更新 2017/07/05

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前回は進級試験対策、臨床実習、国試対策における『ハリソン』の活用法を伺いました。今回は医師になってから、“生涯の座右書”である『ハリソン』をどのように活用すればよいのか、お聞きしたいと思います。

 

経験を書き込んで『自分の糧に』
内科医必読の『ハリソン』

 

―― 研修医になってからは、『ハリソン』をどのように活用すればよいのでしょうか。

 

研修医が医学生と違うのは、「自分で仕事をしなくてはいけない」ところです。例えば、学生の頃は、不安定狭心症の治療薬としてニトログリセリンやニコランジルを知っていればよいのですが、医者になると実際に患者さんを助けなければなりません。そのときに、“薬の量と投与経路”までも知っておく必要があります。

 

――具体的に、どのように使われたのかお聞かせください。

 

僕は『ハリソン』に、イニシャルと出会った日付、そして患者さんのデータを書き込みました。それと同じように研修医になったら、受け持った患者さんの疾患が書かれている『ハリソン』のページに書き込み、薬の投与経路も書くことをオススメします。こうした生きた情報は、僕のように将来開業してからも使えます。
初期研修で患者さんを担当したばかりの時期でも、診断がついている患者さんの場合は『ハリソン』で容易に調べられるので、医局などに置いて活用してみてください。『ハリソン』のようなベースになるものがないと、症例も「経験しただけ」で終わってしまいますが、経験を情報として書き込めば、本当に自分の糧となります。後期研修で内科以外の科に進んだとしても、必ず役立ちます。 後期研修についても、『ハリソン』のおかげもあって順調に修了できました。その僕が思うのは、内科医としてやっていきたい、資格試験に受かりたいなら『ハリソン』を読まなきゃダメということ。実際に、認定内科医の試験対策として『ハリソン』を使い、合格した僕が言いますが、マストな教科書です。

 

グローバルに通じる教科書&
全科で応用できる『ハリソン』

 

――内科学の教科書は他にもありますが、孝志郎先生が『ハリソン』を推すポイントについて教えてください。

 

まず、世界レベルの教科書であるということです。今は海外の方々と対等にやっていかなければならない時代ですから、地球規模で通用するものを勉強しないといけません。具体的に言えば、英語と『ハリソン』だと思います。
海外の先生からも「何を読んでいるの?」と聞かれるのですが、『ハリソン』と答えれば何の説明も要りません。『ハリソン』は、他流試合をするときのパスポート代わりなんです。海外の先生も『ハリソン』の英語版を持っているので、その場でディスカッションすることもできます。

 

――内科以外の領域・科で診療するときにも、『ハリソン』は有用なのでしょうか。

 

有用です。内科学書としてはもちろん、他の領域・科目の学習や診療にも応用・活用できるのが『ハリソン』の大きな特徴です。 具体例を挙げると、先端巨大症です。これは下垂体前葉の腫瘍化により成長ホルモンが過剰分泌される病気で、肝臓で作用するとIGF-Iが作られ、柔らかい組織が増えます。それによって指や舌などが巨大化し、舌根沈下して睡眠時無呼吸症候群になることがあります。この先端巨大症は眼科にも関係してきます。下垂体のすぐそばには視交叉があり、腫瘍に圧迫される形で視交叉が障害されるので(両耳側半盲)、眼科で見つかることもあります。 なぜ私が、こうして全ての科について話せるかというと、『ハリソン』を全部マスターしたからです。『ハリソン』を読めば、すべての科を有機的につなげていけます。情報が縦割り、つまり領域ごとで分冊になっていないため、全科をつなげられるのは『ハリソン』だけなのです。