【Part.2】医師編(初期・後期研修、診療)ハリソン内科学を活用したDr.孝志郎流”スペシャル”勉強法

情報更新 2017/07/05

vol42-harison01

 

ピットフォールも漏れなく
カバーする『ハリソン』で診る

 

――それでは、クリニックで診療されている先生が、『ハリソン』を読まれていて役立った実例があれば教えてください。

 

『ハリソン』の良いところは、有効な検査・治療はもちろん、やってはいけないことも漏れなく書かれていることです。 例えば、謎が非常に多く、かつ日本人に結構みられる線維筋痛症。患者さんのほとんどが女性で、僕のクリニックにも患者さんが多くいらっしゃいます。謎の痛み、謎の全身倦怠感があるのですが、どんな検査をしても原因が見つからず、たらい回しになってしまう典型的な病気です。 この線維筋痛症についてちゃんと書いてあるのは、内科学書では『ハリソン』だけです。線維筋痛症では、とにかく患者さんが痛がるのでモルヒネを使いたくなるのですが、『ハリソン』には、「線維筋痛症にモルヒネは使うべきでない」ということが強調されて書かれています。開業医としても禁忌は絶対に踏んではいけないので、こういった情報はすごくありがたいです。謎が多い上に、よく診る症例なので、線維筋痛症の欄はマーカーだらけです。他の内科学書とも比べましたが、やはり『ハリソン』が一番良いですね。 ちなみに、僕が今大切にしているのは医者としての根っこの部分、つまり「基礎」です。今は足場を固める作業に注力していて、最近は改めて“『ハリソン』で筋トレ”しています。自分の基礎を作ってくれたのが『ハリソン』なので、読んでいると安心しますね。

 

――生涯の座右書と銘打っている『ハリソン』を、今後どのように活用されていきたいのか、先生のキャリアプランも含めてお聞かせください。

 

僕は認定内科医を取得して10年になりますが、まだ叶えたい夢があります。それは、いざというときに「オペもできる内科医になる」ことです。すでに「救命救急に入れる内科医になる」という夢は叶え、今でも救急の現場に行っているのですが、最終目標はオペ室に入れる医者です。 そのために39歳にして外科、しかも心臓外科を始めました。先日も、都内の病院で大動脈置換術を手伝わせてもらいました。僕はピアノをやっていたので手先は器用な方だし、学べるものは全部学んでステップアップしていきたいと思っています。『ハリソン』は外科のベーシックなところを学ぶのにも最適で、『ハリソン』も読みながら学んでいます。 これまで培ってきた内科・総合診療の経験に救命救急を加え、さらにオペもできるようになっている…という10年後の自分を想像すると、とても楽しみです。『ハリソン』には、 僕にそう思わせてくれた土台が詰まっており、一生使える本があるのはありがたいですね。『ハリソン』がなかったら、こういう夢も見られなかったですから。

 

vol42-harison-last